エリナと翼
□第6章
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国語の授業中、廊下に出された私と翼は何をするのでもなくボケッとつっ立っていた。
「あれお二人さんこんなところでなにしてんの??」
授業中にもかかわらず声がした。
声の主の名前は森谷健悟。
確かおじいさんか誰かが外国人だったので目の色と髪の色が日本人離れしている。(クラスの女子情報)
「翼はともかくとして、河本さんが出されてるなんて意外かも」
「エリナに引っ張られて俺も外に出されたんだよ。で、なんでお前がここにいるんだ?」
私だけのせいじゃないし。でも確かになんで森谷がこんなところにいるんだ?
「えっ?あぁ俺?トイレだけど」
ブッと思わず吹き出してしまう。
「やだなぁ。別に笑う事じゃないでしょ。」
「だって・・・」
そんなに真面目な顔してトイレって言われたら笑うしかないでしょ。
「じゃ、俺授業戻るわ。あと30分頑張ってね〜」
「うるせぇ、さっさと戻れ」
森谷君が教室に戻るとまた沈黙が訪れた。その空気に耐えられなくなり私は口を開いた。
「ねぇ、なんでフランス語書けるの??」
「あぁ、あれ?俺の姉貴がフランス人と結婚してるから、嫌でも姉貴の旦那に叩き込まれた。すっごい熱血なんだよな、あの人」
「翼、お姉さんいたんだ。ちょっと意外かも」
「そうか?で、エリナはなんで書けんの?」
「私は中学で第2外国語でやったから」
「すげぇな。中学でそんなこともするんだ」
という具合に話していると教室から先生が出てきて、沸騰したヤカンみたいな顔で静かにしろっと怒ってきた。
教室からはクスクス笑い声がする。
なんで先生には廊下に30分以上立たされる人の気持ちが分からないのかなぁと毒付きながら、授業終了までの時間をなんとかこらえていた。