エリナと翼

□第10章
1ページ/3ページ

目を開けると、白い天井が飛び込んできた。

あぁ、そっか。ここは病院か。

「エリナっ!?」

お兄ちゃんの声がする。

「・・・ん」

お兄ちゃんって言ったつもりだったのに声は出なかった。

「あっ、目覚めた?」

白衣を着た男の人が覗きこんできた。
お医者さんかな・・・? 

「名前とか年齢忘れてない??」


名前と年齢?


「…河本エリナ 16歳」

「ん。もう大丈夫だな」

それだけ言うと、先生は出ていった。

「エリナ」

お兄ちゃんに声をかけられる。

「大丈夫か?」

コクンとうなずく。

「翼くんがエリナのこと探しだしてくれたんだ」

「翼が・・・?」

「そう。いま連絡したからみんな来るよ。それまで眠ってな」 


…迷惑、かけちゃったな。


***

再び目を開けたとき、色んな人に囲まれていた。

「おはようエリナ」

これは翼だ。

「大丈夫?エリナ?」

これはママ。覗きこんでくるのはパパ。 


あと、お兄ちゃんとさっきのお医者さんと知らない女の人がいた。


「…ごめんなさい」


フッと言葉が口から転がり落ちた。


「なんでお前が謝んだよ。」

「だって迷惑…」 

「少なくとも俺は迷惑かけられたと思ってない」 

「…うん」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ