銀×
□祝宴
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月が綺麗に映える美しい夜空の日
流れ行く雲をただ眺めているだけの高杉の背中には哀愁が漂っていた
その背中に声が響く
「月は…綺麗か?」
何時からいたのか、銀髪頭――銀時が柱に寄り掛かって高杉を眺めていた
声が発せられるまで気付かなかったのは銀時が気配を消していたからか、それとも高杉が空にそれほど集中していたのか……あるいは両者か
どれにせよ二人の何もない時間が過ぎ去っていたのは明白である
何故銀時が言葉を発したのかは本人にしか判らない
銀時はようやく高杉の方へ歩き出した
その手には何かが握られていた
「月見酒でもしよーや。折角の月夜だ」
高杉の隣りに腰を降ろし、その間に持って来た酒瓶をトンッと置いた
月明りで酒の銘柄が照らされた。そこに記されていたのは普段の銀時の懐では買えぬような上物だった
「銀時、この酒…」
「ん?ああ、コレな知り合いから貰ったんだ。こんな上等な酒、万事屋で呑むのは惜しくてよ」
どこにしまってあったのか二人分の杯を出し、瓶を開け中の酒を注いだ
片方を高杉に渡し、杯を交わした
それから二人無言で酒を呷り、気付いた時には半分ほど空けていた