その他

□誰が好き?
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10月のとある日


万事屋に一本の電話がかかる


「はい、万事屋ですけど〜」


仕事の電話かも知れないが大抵は銀時自身に掛かって来る、銀時にとっては迷惑でしかない誘いだ


今回のもそれだろうと思って電話に出れば、案の定


『あ、旦那ですか?俺です山崎です』

「ジミーくんが何の用?俺忙しいんだけど」


ジミーくんもとい山崎と言えば真選組の優秀な監察なのだが、実際の仕事の殆どは雑用と言っていい

何度かこうして連絡が掛かって来た事がある。そして内容はだいたい迷惑事だ


『そう言わずに…。お尋ねしますが、10日の予定は空いてますか?』

「10日?…空いてたと思う」

『良かったー。それじゃあですね、その日うちの屯所に来てくれませんか?』

「はぁ?!」


ほらやっぱり、と内心ため息を吐く

屯所に呼び出しをくらうとは一体何事だ。嫌な予感しかしていない


『じゃあ10日待ってますから』

「ちょっ俺まだ何も言ってない…」


一方的に切られた電話。そう言えば山崎には人の話を聞かない悪い癖があったのを思い出す


もう繋がっていない受話器を握ったまま銀時はその場にうなだれた

深いため息と共に


「面倒な事になったなぁ〜…」


ただの独り言に返ってくる言葉はない

何故なら万事屋の子供二人はお妙達と旅行に出掛けているから

しかも帰ってくるのは11日だ


(ま、誰も居ない誕生日よりはマシだろ)


新八達が残したメモを見ながら、屯所へ寂しさ半分諦め半分で出向く覚悟を決めた


メモの追伸に書かれている言葉


『早いけど、誕生日おめでとうございます。帰ってからじゃ遅いので』


カレンダーを見れば10日に丸が付けてある

それをみて心に温かいものが広がっていくのを感じた銀時は、メモを大事そうに引き出しに仕舞った



 
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