その他

□ちゅーゆー
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その引き戸は前触れもなくいきなりガラッと大きな音を立てて開いた


その音に洗濯物を干していた新八も、酢昆布を銜えていた神楽も、その横でジャンプを読んでいた銀時も一斉に動きを止めた

そして顔を見合わせ、目で会話をする


誰ですかね?
分からないアル
まさか不審者か?
確かに不審ですけどあんな音立てないでしょ
じゃあ家賃の取り立てのババァとかヨ
いや家賃は一昨日払ったから違うな


会話している内に玄関に上がり込む音、そして部屋に向かってくる足音が近くなる


どーすんですか!そこまで来てますよ!
お前らは取り敢えず隠れてろ!俺が何とかする
銀ちゃん…生きて帰ってくるアル!


危機を察知した銀時は二人の安全を優先させ、自分は机に立て掛けていた愛刀の洞爺湖を握り部屋の入口を睨み付ける

その間に二人は別の部屋に逃げ込んだ


全員がいた居間に静寂が訪れて数秒


部屋の入口に人影が現われた


三人は影を凝視しながら固唾を呑む。洞爺湖を握る手にも力が籠る


そして影は大きくなり遂に誰かが現われた


「どうもー。邪魔するぞ」

「お前かよ!ヅラァ!」


現われたのは幼馴染みの桂で、とんだ拍子抜けを食らった銀時は洞爺湖を投げつけた

部屋に隠れた二人も飛び出してきた


「どうしたのだ皆。そんなに怒って」

「どうしたもこうしたもねーよ!」

「一声掛けてから玄関開けて下さいよ!」

「私達の時間を返すネ!」


何がなんだか分からない桂は、今の状況の原因が自分だと気付かずにのんびりと今の状況を問う

それにも怒りが刺激された万事屋3人衆は次々に文句を飛ばす


「落ち着け皆。今日は手土産があるんだ」

「つまらないものだったら許さないネ!さっさと渡すアル」


噛み付かんばかりの神楽の勢いに気圧されながらも、持って来た紙袋を差し出す


「リーダーと新八君にはこれだ。んまい棒型クラッカー」

「は?クラッカー…ですか」


大きい紙袋の中身はんまい棒が10本少々入っていた


「今日は銀時の誕生日であろう。それで祝ってやるといい」

「ヅラぁ…。覚えてたのか」

「ヅラじゃない桂だ。当たり前だ」


実は神楽も新八も今日の為に銀時に内緒でパーティを開こうとしていた。しかし経済的にあまり派手には出来ないと落ち込んでいたのだった

そこにこのクラッカーである。気分が良くなっていく


「時に頼みたい事があるのだが。コレで何か誕生日を祝うのに相応しい物を買っては来てくれないか?」


桂が袂から財布らしき物を取り出す。ちなみにエリザベスのマーク付だ


それを新八に渡し、所謂おつかいを頼む


ついでに色々買ってもいいと言われ、神楽のテンションが上がる


「恩に着るヨ!銀ちゃん行ってきま〜す」

「神楽ちゃん待って!桂さんありがとうございます!」


そうして慌ただしく出ていった子供二人と定春


万事屋には二人が残った


 
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