01/15の日記
12:47
雲雀嫌われ
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「……恭弥」
私は、病院のベッドに静かに座る恭弥にそう呼び掛けた。
虚ろな瞳に光はなく、その瞳はただ虚空を見つめていた。
以前の肉食動物のような光を宿す瞳は、今そこにはない…。
恭弥は変わり果ててしまった…。
「…………」
いつも返ってくるのは沈黙だけ……。
ずっとずっと………付き添っていても、
何か反応を示してくれたことが未だない。
恭弥は心を壊した。
何で早く気付いてあげられなかったんだろう……。
私は恭弥の姉なのに…。
「……ごめんね…。ごめんね……恭弥…」
そう謝りながら、願うように恭弥の手を強く握る。
それから、後ろの扉がガラッと開いた音がした。
「恭弥の容体はどうですか…?」
「……風兄…」
そこには私と恭弥の従兄弟である風兄がいた。
風兄は、悲しそうに微笑むと恭弥に目を移した。
「………信じられませんね……。まさか恭弥がこうなるなんて」
そう言いながら、お見舞いに持ってきた花を生ける。
私は視線を落とした。
それからまた、病室に誰か入ってくる音がする。
目を向けると、そこにはお母さんとお父さんがいた。
「…風くんも来ていらしたんですね……」
「はい…。お久しぶりです……」
「お母さん…お父さん……。仕事だったんじゃないの…?」
「息子がこんな状況なのに仕事なんかできるわけないだろう?
……隈ができてる…。しばらく寝ていなかったのかい?」
そう言って、私の頭を撫でるお父さんにコクリと頷く。
心配で寝ていられなかったから…。
「睡眠はちゃんととってくださいね?
貴女まで倒れられたら私……どうなるか分かりませんから…」
困ったように笑うお母さんの目は真っ赤で、泣いていたことが分かる。
確かにこれ以上、心配をかけるのは得策じゃない。
「……ごめん…。お母さん…」
「分かってくれれば、いいですよ……。イタリアの仕事は大丈夫?」
「…うん。依頼とか受注したのまだないから……」
「そう……」
………、沈黙が訪れ、皆が恭弥を見る。
どこを見てるかも分からない瞳に、私はまた泣きそうになった。
それを見かねた風兄が、私を静かに抱き寄せて頭をポンポンと撫でる。
あった…か、い………。
「……ねぇ…、これから…どうするの?」
恭弥をこんな状態にした元凶。
恭弥を追い詰めた奴ら。
私は復讐がしたい。
「これから……そうですね…。
私としては野放しにしておきたくありません…。恭羅さん……」
「琴音……。僕としても……そいつらを生かしておくことには賛成できない。
むしろ、捻り潰すことに賛成だね」
「ですが二人とも…。相手はあのボンゴレです……。
私たちがどうにかできる相手でしょうか…?」
「フッ…。風、僕は伊達に雲雀財閥兼アーラファミリーのボスはしてないよ。
ボンゴレ如きがこの僕に歯向かうなんて、愚の骨頂だ」
「それに……私“黒き薔薇”が恭弥の姉だから……。
“黒き薔薇”を敵に回したあいつらに、生きる術はない……。
風兄……味方になってくれる…?」
「言われるまでもありませんよ。
私はアルコバレーノである前に、あなたたち二人の従兄弟であり兄です。手伝いますよ」
にっこりと笑いながら言う風兄……どこか黒い気がしたけど、味方になってくれるなら心強い。
ほら恭弥。
たくさん味方がいるよ…?
私たちみんな、恭弥のために復讐をするの。
恭弥は群れて嫌かもしれないけど、雲雀財閥もアーラファミリーも
お父さんもお母さんも風兄も、みんな動いてくれるって。
もちろん私もだよ?
「今はボンゴレを泳がせとこうか。始めるのは恭弥が戻って準備ができたらしよう。
その時にボンゴレとの同盟は破棄して、ボンゴレの依頼全てを断るようにしようか。それでいいね?」
「うん、お父さん」
さぁ…、恭弥が戻った時が合図だよ…。
ねぇ、恭弥。
また昔みたいに一緒に咬み殺そう?
愚かなやつらに、制裁を加えよう?
だから……だから早く戻ってきて……。
私の可愛い弟……。
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=あとがき=
突発ネタで、雲雀家総出での復讐なお話でした!
お父さんの恭羅さんも、
遠慮なく財閥やらファミリーやらの権力を使って、復讐に参加です!
なんとなく、家族で復讐な感じにしようかなーと思ってたらできました。
十年後ぐらいに復讐スタートな設定です。
五年後かそこらに雲雀が戻って、それから修行……みたいな感じです。
アーラファミリー
アーラは翼という意味で、自由な感じをイメージしました。
ボスはもちろん恭羅さん。
将来、アーラファミリーを雲雀が継ぐかは謎……←
とりあえず、ここまで読んでくださってありがとうございました!
ではではー♪
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