06/07の日記

21:10
『秩序なる鳥』第一羽 雲をやめる鳥
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※雲雀味方で、嫌われ※
※一応、雲雀が復讐をするストーリーです※



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「草壁!!希園は見なかった!?」


応接室の扉を荒々しく開けながら、僕は中にいる草壁に聞いた。

草壁は驚いた顔をしながら、いえ…、と首を横に振る。


「見ていませんが……。委員長、ご一緒ではなかったのですか?」

「いないから探してるんだよ!教室に行ってみたけど見当たらなかったんだ…!」


ギリ…ッ、と奥歯を噛み締めながら、僕はダンッと拳を壁にぶつける。

希園を一人にしたら危険だってことは、僕が一番分かっていたのに…!!


「!?、まさか……また沢田たちに…!」

「……その可能性が高いね。
草壁!風紀委員を使って探して!見つけたら、手は出さずに僕が来るまで待つように言って!」

「はい…!」


バタバタと走り去って行く草壁を見届けて、僕はくしゃ…と前髪を掴む。

………二週間前だった。
こんなことが始まったのは…。

ある一人の転入生に、希園は嵌められて、それを信じたバカな奴等は希園をいじめるようになった。

希園は誰かをいじめるようなマネはしない…。
なのに、沢田綱吉たちを始めとするあいつらは転入生である明井姫香を信じた。

明井姫香は、それだけで終わらそうとせず、沢田綱吉たちをけしかけてくる…。

僕が極力と希園といようとしても、隙をついて希園を傷付けようとする。
今では、学校中の誰もが明井姫香の味方だ。

……その時、携帯が鳴り、僕は急いで通話ボタンを押した。


「希園は!?」

〈委員長!中庭です!数は、六人!
沢田綱吉と獄寺隼人、山本武、笹川了平、それと黒曜生と赤ん坊です!〉


!?、黒曜生!?
黒曜生ということは、あの男か…!

赤ん坊までいるなんて…。


「分かった!草壁、君は帰りの車の手配!裏門に呼んで、救急箱も忘れずに!」

〈はい…ッ。委員長…!お急ぎください!希園さんが…!〉

「……ッ分かってる!」


ピッと通話を切り、僕は中庭に面している窓から飛び降りた。

ダンッと地に足をつけて、辺りを見回し、耳を澄ます……。

すると………。
暴行される痛々しい音に、怒鳴り声……それから、小さく希園のうめき声が聞こえた。

希園……!!

弾かれるように、僕はその声が聞こえる場所に走った。

そこには、希園を取り囲んで殴る蹴るをしている草食動物たちがいた。

トンファーをチャキッと構え、僕はそれを容赦なく横一線に振るう。


「希園!!」


バキッと沢田綱吉を横に殴り、希園に駆け寄る。

後ろで、獄寺隼人が何かわめきたてているがそんなの知ったことか。

僕は、地面に倒れている希園を抱き起こした。


「……きょう、や…?」


苦しそうに僕の名前を紡ぐ希園を抱き締めて、僕は小さく、ごめん…、と呟く。


「……ごめん希園…。遅くなった…」

「いいよ…。恭弥は悪くないから…」


きゅ…、と希園がYシャツを掴む感触がする。

僕は希園の頭を優しく撫でて、ごめん…、と再度謝った。

それから、殺気を少しだけ出しながら沢田綱吉たちを睨み付ける。


「君たち……覚悟はいいかい?」


希園を後ろに隠すように立ち上がり、僕はトンファーを構えた。

沢田綱吉は、僕に殴られた部位をさすって、僕を見つめる。


「……雲雀さん。まだ分からないんですか?悪いのは鶯希園です」

「君もまだ分からないのかい?希園は何もしていない。明井姫香が希園を嵌めたんだよ」

「姫香が真実です。希園が悪いんだ。雲雀さんもいい加減にしないと、ただでは済みませんよ?」

弱い草食動物の目だった沢田綱吉の目は、今ではもう異常なほどに変わってしまっている。

それは、他のやつらも同じで、赤ん坊は黒光りする拳銃を僕に突きつけた。


「そいつを渡せ、雲雀。渡してくれれば、また俺が相手をしてやるぞ」

「へぇ。どこに恋人を渡してまで戦いたがるやつがいるのかな。
もしいるなら、ぜひともお目にかかりたいよ」

「雲雀さんは騙されてるんですよ」

「希園は僕にそんなくだらない嘘はつかないよ」


希園はいつだって、僕やあいつらのために頑張ろうとするんだ。
そんな希園が、嘘をつくなんて考えられない。

僕は、ちら、と希園を見てみた。

怪我が酷く痛々しく見え、こいつらを咬み殺すよりも先に希園の手当てを優先させるか、と考える。


「とにかく、これ以上君たちに付き合っている暇はない。……希園、行こうか」


希園をひょいと横に抱えて、僕は沢田綱吉を退けて歩き進んだ。

後ろが何か言っているけど知ったことか。

今はそれよりも、希園が先だ。


「あぁ……そうそう。これ返すの忘れてたよ」


そう言いながら、僕は希園を抱えながら器用に指輪を外し、
それをピンッと沢田綱吉の方へ弾き返した。

慌ててそれを受け取った沢田綱吉は、それを見て驚愕する。

雲の刻印が入ったその指輪は、雲のボンゴレリングだった。


「雲雀さん…。これって……」

「もう僕には必要ないからね。まぁ、元々いらなかったんだけど」

「待て雲雀!!これを返すことがどういうことか分かってんのか!」


赤ん坊がそう焦るような声を出すのは分かる。

なんてったって、僕みたいな人材を赤ん坊は……ボンゴレは手放したくないだろうからね。

だから、わざわざ家庭教師を無理矢理付けたり、
戦ってくれるだの言って僕を引き留めてたんだろう?

でも残念だったね。

僕は何よりも希園が大事で、希園が全てなんだ。
希園を傷付けるようなやつらと同じ組織だという証のリングなんていらない。

壊さないだけまだマシだと思ってほしいよ。


「分かってるから返したんだよ。それがあって、そこそこ楽しめたけど、もう充分だ」

「お前……雲の守護者をやめる気か!」

「うん、そうだけど」

「……ッ強ぇやつと戦えるのにか!」

「強いやつくらい赤ん坊の手を借りずとも探せるよ。
赤ん坊、君にも興味はあったけど………今はないから闘争心は萎えるだけなんだよね」

「な…っ!?」


最強のヒットマンを自負する赤ん坊からしたら、僕の言葉はさぞかし不愉快だろう。

でも実際そうなんだから仕方ないよ。

今の君には興味はない。
もちろん、六道骸もね。


「僕は僕のやり方で、やり返させてもらうよ。もう………僕も決めたから」

「雲雀さんは所詮並盛の範囲のみの秩序でしょう…。俺たちにはボンゴレがいる!」

「さぁ……どうだろうね」


君たちがボンゴレをバックに従えているのは百も承知さ。

でも、浅はかすぎないかい?

Aランクオーバーのリングである雲のボンゴレリングを手放しても、やり返すと断言する僕の行動。

リングを所持しているのといないのとじゃ、大きな差が生じてしまう。
それは未来で学んだのに、なぜリングを突き返したのか。

それも疑問に思わない?

リングがなければ、不利なのは確実なのに……なぜ今になって返したのか。

僕としては都合がいいから構わないけどね。


「覚悟していなよ。君たちはいずれ………この僕が咬み殺すから」


そう言って、再度足を動かす。

追ってくる気配はないから、今回は見逃そうと思っているらしい。

すると、沢田綱吉が僕の背中に向かって静かに脅すような調子で、言葉を発した。


「俺も……容赦しませんから。あなたはもう雲の守護者じゃありません」


歩を進めながら、僕はその言葉にフッと笑う。

前と随分変わったね。
いいよ。

その方が僕も手加減なしで咬み殺しやすいから。


「せいぜい、あの愚かな女を守るのに頑張ることだね。偽りを信じた草食動物」


僕はそれだけ言って、この場を足早に去った。

希園……。
覚悟を決めるのが遅くなってごめん…。

でももう大丈夫だよ。
僕は…………決めたから。





強き意思を灯した元雲は


愚かな者共に制裁を加えるため……


――――遂に動き出す


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=あとがき=

雲雀味方で、雲雀が恋人のために復讐をするお話……です、一応ストーリーとしては...

続くかは分からない突発的な長編。
連載にしようかはだいぶ悩んやでるところ...
一応、二話目もできてたりなんですが、載せるの悩んでたり?←

とりあえず、一つのネタとしてここに入れてみましたのです。

いつかは突発的に思いついた長編が、ちゃんと連載として書けたらな……なんて言ってみる私の独り言!←

とりあえず、ここまで読んでくださってありがとうございました!!
それではまた!



☆コメント☆
[刹那] 06-10 19:54 削除
こういうのは初めて見ました!
ぜひとも読んでみたいです^_^

[テレサ] 06-12 15:28 削除
うわぁ!こんな嫌われ初めて見ました!私がいつも読んでいる嫌われは恋人も敵になるパターンが多いので…是非とも読んでみたいです!

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