09/06の日記

18:29
『秩序なる鳥』第二羽 決心せし覚悟
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※初めての方は、秩序なる鳥一話からお読みくださった方が分かりやすいです※
※それでは、第二話どうぞ...※



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裏門に呼んであった車に乗り込み、僕は希園の状態を確かめた。

打撲と切り傷……。
それから銃弾が掠めた痕……。
よかった……。
どれも致命傷ではない…。
希園の幸福体質が幸いしたね。


「希園…」

「なに…?」

「ごめん…。僕が守るって言ったのに……」


そう言うと、希園は優しい手つきで僕の頬に手を当て、俯かせていた顔を上げた。
希園の暖かな瞳が、僕を見つめる。


「いいよ。恭弥は悪くないから。だから謝らないで…?これでも、ダメージは受け流してたから私は大丈夫だよ?」


そうやって笑う希園に僕は、うん…、と呟き、希園の肩に顔を埋める。
ちらっと見えた運転席にいる運転手と助手席にいる草壁が、居たたまれなさそうな顔をしていたけど、そんなの知らない。

今は………今だけはこうしていたい……。


「………希園」

「恭弥…?」

「もう大丈夫だから……」


ギュ…、と抱き締めれば、希園も背中に腕を回して受け入れてくれた。

希園は、顔を僕の胸に埋めて、こくんと頷く。


「ありがとう……恭弥」


愛しい君の声に、僕は再び決心する。

早く……みんなに伝えないとね。

しばらく抱き合ったまま、僕たちは雲雀家………僕の家へと帰った。











純和風の日本家屋の造りをした家に入り、僕はまず始めに希園の手当てを草壁に任せて、自分はある部屋に向かっていた。

世間で言う父親の部屋に。

草壁から、父さんは部屋にいるって聞いているから間違いはない。
小さい頃にトンファーでの戦い方を学んだのも父さんからで、父さんは父親であると同時に師匠だ。

それともう一つ……………父さんは、雲雀財閥の社長でもあり……そして……………。

アーラファミリーのボス。

裏社会の秩序とも謂われるアーラファミリーのボスだ。
ボンゴレとタメを張れるほどのファミリーで、今アーラファミリーはボンゴレと同盟関係にある。

なぜ知っているかは、父さんから聞いていたからだ。
少しは知っておいた方がいいと言われ、教えられたもの。
なぜ教えられたかは、僕が次期アーラファミリーの十代目ボスだから。

アーラファミリーの立派な後継者が僕なのだ。

襖の前に立ち、僕は声を出そうと口を開きかけるが、気配で分かったのか、中から父さんの声がした。


「入りなよ、恭弥」


………気配は消していたはずなんだけどな……。
まだまだ父さんには追い付けてないか……。

そう思いながら静かに襖を開けると、黒いマフィアスーツを着た父さんが、お茶を啜りながら書類を見ていた。
書類に落としていた視線を上げて、父さんは僕を見る。


「珍しい……。恭弥が自分からここに来るなんて」

「話したいことがあるから来たんだよ。そうじゃなければ来ない」

「あぁ……。希園ちゃんのことかい?」


穏やかに言う父さんに、僕は少しだけ驚愕した。

父さんにはまだ何も伝えていなかったはずなのに……。


「悪いけど少し調べさせてもらってたんだ。様子がおかしかったから気になってね」

「……なら話は早いよ。父さん、僕はアーラファミリー十代目ボスを継ぐ」


はっきりと言った言葉に、父さんはピクリと眉を動かした。

それから、啜っていたお茶を机に置いて、あまり僕の前では見せることのない真剣な顔つきを父さんは見せる。


「前まではあんなに拒んでいたのに……。大方理由は分かる。希園ちゃんを助けたいんだろう?」

「………」

「恭弥が継いでくれるのは嬉しい。ふさわしい後継者は恭弥しかいないからね。
…でも……ボスという役割は、委員長みたいに楽じゃない。死と隣り合わせの日々が続くんだ。
君は、僕や先代先々代の業を受け継がなくちゃならなくなる。そして、このリングもね」


父さんの薬指の隣で、キラリと光るリング。
それは初代から代々受け継がれているリングで、裏社会の秩序の証だ。

秩序。
即ち、それは全ての理。

リングに適応するのは、秩序に縛られ、秩序としてふさわしい人間のみ。
ボンゴレが大空ならば、アーラファミリーは秩序を司りしファミリーであり、マフィア界の秩序と言われている。

掟と言われる復讐者とはまた別物みたいだけど、対して差はないんじゃないかと僕は思うんだけどね。

“掟と秩序は別物。掟の上に立つ者は掟と共に生き、秩序の上に立つ者は秩序に縛られて生きていく。”

この言葉は初代アーラの言葉だ。
初代は何かを記すのが日課だったのか、初代アーラが書いた書物がここには山のようにある。

小さい頃、初代アーラのように父さんもこんなことを言っていた。
秩序は決まりであり理、一生鎖に縛られることになる……、と…。


「恭弥。君に……全てを受け継ぐ覚悟はあるのかい?」


射抜くような目で父さんに見られ、僕はそれを跳ね返すように見つめ返した。
それから、上等だというように口角を吊り上げさせる。

受け継ぐ覚悟?
上等だよ。
希園を助けられるならなんだってする。
受け継ぐことを、別に苦痛にも思わなければ別に嫌でもない。

代々受け継がれてきた業だとか、アーラファミリーの歴史だとか………全ては僕が受け継ごう。


「覚悟があるからこの話を持ち出したんだ。僕はもう、そう決めた」


それに、遠くない未来僕は継がなきゃいけなくなるだろうしね。
縛られるのは好きじゃないからこそ、考えるに考えての決断なんだ。

覚悟は充分ある。


「そう…。ならいい。じゃあ、会議室にみんなを集めようか。全てを話さないとね」

「全員この家にいるの?」

「今日はいるよ。だから今日の内に言わないと。
哲郎、会議室に守護者たちを集めて。もちろん、次期十代目ボスの守護者たちもね」


部屋の外に呼びかけるように父さんがそう言うと、へい、と野太い声がして気配が遠退いていく。

草壁哲郎。
風紀副委員長草壁哲也の父親で、父さんの秘書のような存在だ。


「さぁ恭弥。僕たちは先に会議室に行こうか」

「分かった」


さて、守護者会議といこうか。

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=あとがき=

とりあえず、えーと…二話目の半分だけ載せてみました。
全部を載せるとやたら長くなるので一旦切ることにしたのです…!
続きは、そのままアーラの守護者会議です。
内容としては…、雲雀の守護者の登場、正式な後継者になる、悪女のファミリーについて……です。

アーラ守護者は……、個性的です!個性的にできてるかは分かりませんが、一応個性的!なハズ←

守護者六人に対する雲雀の認識の仕方だけ言いますと……、
怪力「風紀委員ゴツイやつ二人を肩に軽々担ぐぐらいだし。この前は漬物石を背中に乗せて腕立てしてた」
変態「変態は変態だよ。スイッチが入ると視線が気持ち悪くなって鬱陶しい」
石頭「性格も固ければ頭も実際に硬い。秒単位で時間にうるさいんだ」
がり勉「一日中机に向かってることもあるみたいだから。勉学から雑学まで、まるで歩く教科書さ」
精神病患者「まるで感情が欠落してるみたいに興味を示さないんだけど…口だけは達者なんだよ」
恋人「無論、希園は僕のものだからね。守護者の中で一番まともなんじゃないかな」

とまぁこんな感じです。
………うーむ…、話数が増えてったら連載にしようかな…。
私的にも気に入ってるもののひとつなので……はてどうしたものか…。
悲劇...が終わったら、とりあえずその他連載をしばらく中心に進めていって、
ストックが溜まってるお話を新しく連載として出そうかなーと思ってるんです…。(あれ、裏事情?←)

とりあえず、この秩序の二話目の残り半分は明日か明後日辺りに載せるとします!
中途半端ですし…!

ではでは、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
ではでは!



☆コメント☆
[白雪] 09-06 22:20 削除
『秩序なる鳥』第2弾楽しみに待っていたので凄く嬉しいですこれからも頑張ってください

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