捧げ物

□散りゆく花びらの如く
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「それでは、私仕事があるので、失礼します」

そう言っておぼんを持って立ち上がった





「あまり無理しないで下さいね?」


「大丈夫だって」

「……………それでは、失礼します」



少し不安そうな顔をしていたけど、あきらめて仕事に戻って行った












「ハァ…………」



一つため息をついた



「うっ………ゲホ、ゲホッ」



あぁ、どうしてボクがこんなことに…………。







「ゲホッ、ゲホッ」


口元を布で押さえ、咳を止めようとする。




だけど、止まらない











口元を押さえていた布を見ると、赤いモノがついていた







「っ…………ゲホ ゲホッ」




もう、長くはないな………。



自然にその言葉が出てきた











「ハハハ…………」


部屋に乾いた笑い声が小さく響いた





「……………なんか……………はがゆいな…………」





それを最後に、布団に横になり、目をとじた。




"次の日の朝、必ず目を開けられますように"






そんな願いを胸に抱きながら眠りについた















それから数日後、とうとうこの日が来てしまった









「ゲホ ゲホッ」



「大丈夫ですか!?」




いつものように咳き込むボク。だけど…………






「ッ カハッ」



咳の次に出たのはいつもより量の多い"血"




「沖田さん!?」







ボタボタと布団に落ちた血を見て、焦る名無しさんちゃん








「っ……………大丈夫…………だから………」




笑ってそう返すと、泣きそうな顔をしたキミは「何言ってるんですか!!」とボクに怒鳴った








「待ってて下さい!!!お医者さんを呼んできますから!!」






立ち上がったキミの腕を掴んだ





「沖田さん!?離してください!お医者さんを……「大丈夫…………呼ばなくて良いよ………」…………でも………」






「必要ないよ………」



「沖田さん…………?」



不安そうにボクを見る名無しさんちゃんに、笑ってみせる






「自分の体のこと……………自分が一番分かってる…………」




そう言うと、今にも泣きそうな顔をする名無しさんちゃん
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