太陽と月の恋物語
□第一話
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『ふぁー…』
昼下がり、大きな欠伸を一つ。
あぁ、昼寝したいなぁ……
「こんな所で何やってんだよ、杏」
『あでっ!』
平助におでこをでこぴんされた。
『いったぁー…
何すんのさ、平助』
おでこを擦りながら涙目で言うと平助が悪戯っ子みたいに笑った。
「いやー、いいおでこがあったんで、つい」
『つい、じゃないよ!
人がせっかくうとうとしてたってのに!!』
「仕事はどしたよ、仕事は」
『へへーん、今日は非番だよ!
あたしは昨日、大仕事したから土方さんがゆっくり休めだって』
「大仕事…って……」
『うん、零番組の仕事』
そう言ったら平助の顔が一気に曇る。
『そんな顔しないでよ、あたしは平助の笑った顔が好きなんだから』
「………」
『ほら、明るいだけが取り柄でしょ?』
「だけってなんだよ!?」
『はいはい、そんな元気があるなら剣の修行でもしてきなー』
「るせー!
暇なら俺と勝負しろ!!」
『しょーがないなぁ、もう』
平助に手を引かれながら、小走りで道場へ向かった。
2010.08.02