太陽と月の恋物語

□第十三話
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「…お前、馬鹿じゃねーの」
『人の部屋に入って来て第一声がそれ!?』

今日は休めって言われてんのに何してんのお前。


『何って…書類整理?』

筆を片手にこっちを向いて首をかしげる杏。
可愛っ…じゃなくて!何考えてんだ俺!!

「土方さんに寝てろって言われてんのに何してんだよ」
『だって眠く無いし、暇だし』
「やっぱお前馬鹿だろ、ってか馬鹿」
『人の事馬鹿って言う前にあんたはどーなのさ平助!』
「風邪ひいてんに仕事する奴よりマシだっての!お前ほんと馬鹿だろ!!」
『風邪なんかひいてな…くしゅっ』
「引いてんじゃん!寝ろ!今すぐ寝ろっ!!」


布団を敷いて杏の腕をぐいっ、と引っ張って半ば無理やり寝かせてその横に腰を下ろした。

『大丈夫って言ってるのに、皆過保護なんだから…』


土方さんとか千鶴ちゃんとか、平助とか。
なんて悪戯っぽく笑いながら言ってみせる杏。

「…溺れてる子供助けるために真冬の川、飛び込んだんだろ」
『何で知ってんの』
「お前の組の隊士に聞いた」
『そっか…』
「…やるじゃん、お前」
『別に、気づいてたら体動いてただけだし。
真冬の川に飛び込んだくらいで風邪ひくなんて…あたしもまだまだだね』


新八っつぁんとかが聞いたら鍛練が足りてない証拠だ!とか言って筋肉見せつけてきそう。
なんて言いながらくすくす笑う杏。

「ま、もしまたそういう場面に出くわしたら。その場に俺がいたら…
俺に任せとけよな。俺は杏と違って体丈夫だし?杏より俺の方が強いし?」
『ちょ、待て待て。聞き捨てならない言葉が…
あたしより平助の方が強いって?平助、嘘はよくないよ嘘は』
「はぁ?俺は嘘なんて吐いてねーぜ?事実を言ったまでだ」
『ははは、そういうのは負け犬の遠吠えと言うのだよ平助君』
「その言葉、そっくりそのまま返すわ」
『なにおう!?』
「やんのか、あぁん?」
『おうおう、やってやんよ。絶対あたしが勝つに決まってるけどね』
「んだと!?てめっ、後で泣いてもしらねーかんな!!」


いつの間にか布団から出て俺を睨みつける杏。
対する俺も負けじと杏を睨みつけた。

「よっしゃ、表出ろや」
『ふん、後で泣くのはどっちかなぁー?』


やる気まんまん、今にも外に飛び出しそうなときだった。
部屋の襖がスパンッと開いた。

「杏ちゃん!?ちゃんと寝ててって言ったでしょう!」
「おいこら平助、お前ここで何してやがる!」


杏に持ってきたのであろうお粥を持った千鶴と杏の様子を見に来たのであろう土方さん。
過保護な二人が揃ってお出ましというわけだ。

『いや、ちょっと書類整理してたら平助が来て成り行きでなんか手合わせしようぜ的な展開に、ね…?』
「何やってるの、ちゃんと寝てなきゃほんとに風邪ひいちゃうよ!?」
『う、ごめんなさい…』
「平助、お前なにやってんだ」
「いや、土方さん。これはその…アレだアレ。
ちょーっと杏の様子見に来たら何か成り行きでどっちが強いか勝負だ!ってな具合になって…」
「そうかそうか、よぉーくわかった。そんなに剣の修行をしたいんだな。よし、今日は特別に俺と手合わせしようじゃねぇか。」
「い、いいよそんな!土方さん忙しいだろ!?
ってか俺が土方さんに勝てるわけねぇじゃんか!」
「戦う前から諦めてどうする!男なら当たって砕けろだ!!」
「砕けたら本も子もないじゃん!!」
「じゃあ砕けなかったらいいだろ」
「んな理不尽な!」
「そうと決まれば道場に直行だ、よし行くぞ平助」
「え、ちょっと土方さん冗談だろ?」
「何言ってやがる、俺は本気だ。おら、行くぞ!」
「まっ、ちょっ…うわあああ!!!」


間もなくして新選組屯所から絶叫が聞こえたとか聞こえなかったとか。



***
土方さんのキャラが壊れてしまった件。
勢いに任せて書いてしまったためこんな惨事に…!!
ごめんなさいorz


2011.02.19

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