太陽と月の恋物語

□第十九話
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『腹痛?』
「うん、やっぱりこの頃暑いせいかな…隊士さん達のほとんどが体調崩しちゃってるよ」

私も出来る限りはしたいんだけど、と愛しの千鶴ちゃんが苦笑いした。
まぁ、確かに最近暑いけどさー。
新選組が腹痛って笑えないよね、うん。


『まったく、日頃の鍛練怠ってたんじゃないの?』
「そういやお前の組の隊士、腹痛で全滅って聞いたぜ?」

どこから湧いてきたのか平助がひょこっと顔を出して言う。
…ん?待て待て、全滅?


***

『ちょ、零番組全滅ってどういうことだこの野郎!』
「ぅ、組長大声出さないでくださいよ…」
「その声が腹に響いて、うぅっ」


ああもう!泣く子も黙る新選組、それも零番組がこの醜態!!

『情けない!お前らそれでも新選組かァァァァ!』
「「「いや、真冬の鴨川に飛び込んで風邪ひいた人に言われたくねぇよ!!」」」
『にゃにおう!?』
「あ、噛んだ」
「噛みましたね」
「ぶっ、くくく!か、噛んだ…」

こ、こいつら…!
そのまま腹痛で一生寝てろこの野郎!!
っていうか…


『お前ら実は元気だろ』
「うぐっ、お腹がっ…!」
「あー痛い痛い痛い」
「ああもう組長が来たせいで腹痛悪化しちゃったじゃないですかどうしてくれるんですか」
『っ、うるさいうるさい!そんなに組長いじめて楽しいかああん?』
「「「正直めっちゃ楽しいです」」」
『うわあああああ!やめて!ほんとやめて!それ冗談でも組長泣くから!紅桜組長泣いちゃうから!!』

何だろう、最近うちの隊士達が総司に似てきた気がする。
どす黒いなにかが背後に見えるっていうか。


「どうしたの、杏ちゃん」
『わきゃおぅ!?』

び、びびび吃驚した!
急に出てこないでよ、寿命が縮んじゃうじゃないか!!


「やあ、どうだい身体の具合は?」
「あ、沖田組長」
「紅桜組長が来たせいで悪化しました」
『何でそうなる!?』
「っていうかちょっと聞いてくださいよ沖田さん。俺達腹痛で苦しんでるのに紅桜組長が遊んでくれってうるさいんですよー」
『おい、誰が遊んでくれって言ったよ誰が!』
「零番組で腹痛じゃないの紅桜組長だけなんで巡察出来なくて暇なんですよ。そういえば今日って一番組昼の巡察ですよね?
よかったらうちの組長も一緒に連れて行ってあげてくれませんか?たぶん良い子にしてると思うんで宜しくお願いします」
『お前は僕のお母さんか!そして総司の前だと口調が変わるのは何故だ僕の前と全然違うじゃないか!!』
「あははー、楽しそうだねぇ」
「「「お陰様で」」」
『うん、とりあえず会話したい』

なんなんだこいつら!
なんて心の中で叫んでいるうちに総司と零番組の隊士君達の会話はどんどん進んでいって。


「いいよ。たぶん土方さんも許可してくれるだろうし」
「ありがとうございます、沖田組長!」
「よかったですね紅桜組長、これで暇じゃなくなりますよ!」
「ちゃんと良い子にしてるんですよ、組長!」
『…やっぱお前らほんとは元気だろ』
「うっ、腹が…!!」
「うぐぅ…」
「お、恐るべし…腹痛!」

いや、わざとらしいんだけどぉー!?
さっきもその手だったろ!お見通しだぞこの野郎!!


『…はぁ、時間の無駄だ。総司、巡察行こ!』
「えー、楽しいのに」
『楽しくないわ!!』



***

また登場させちゃいました!零番組のゆかいな隊士君達!!←
ヒロインちゃんは毎日のように部下にいじられてたらいいと思いますw((ぇ



2011.05.23

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