太陽と月の恋物語

□第七話
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何だかんだで千鶴ちゃんは新選組におく、という形になりました。

『納得いかない…』
「何がだよ」
『こんな可愛い子を軟禁するなんてっ…
お父さんは許しませーん!!』
「いつからこいつのお父さんになったんだよ」
『ぷぎゃっ!』


スパンッ、と平助に頭をはたかれた。
くそう、手加減無しかよー。

『それに土方さんの小姓にするなんてっ…!!』
「だからしねぇって言ってんだろ!」


あぁ、もうそんな大きい声出さないでよー。
千鶴ちゃんが怖がってるじゃないか!

「嫌だなぁ、土方さん。言いだしっぺでしょう?」
「関係ねぇよ」
「おもしろくないなぁ…」
「おもしろくしてどうすんだよ!」
『おぉっと、今日も始まりましたぁ!
新選組名物、痴話喧嘩ああぁ!!』
「おい、痴話って何だ痴話って!!」
「いくら杏ちゃんでもそれだけは許せないなぁ…」
『やだなぁ、冗談だよー』
「「………」」

ちょっ、その無言の圧力やめてくれませんでしょうか?
怖いよ、目がヤバいよ!!
人一人殺っちゃってる目だよ!
いや、というか殺っちゃってるのか。
って、納得してる場合じゃないよあたし!!


『え、ちょっ…スミマセン、調子に乗りました。
ほんとスンマセン、マジでごめんなさいいいい!』
「ったく、謝るぐれぇなら最初っから言うなってんだよ」
「ほんとほんと、斬っちゃおうかと思ったよ」
『ちょっ、総司の【斬る】は冗談に聞こえないんですけど!』
「えー、ひどいなぁ杏ちゃん」
『うん、目が笑ってないよ、総司君』

絶対まだ怒ってるよこの人。
謝ったのにー、根にもつ男はモテないぞー。


「あ、あの…」

不意に千鶴ちゃんが口を開いた。


「紅桜さんって…」

非常に言いにくい、という顔で押し黙る千鶴ちゃん。


「そ、その…女の方……ですか?」

ピシ、とあたしを含めその場にいた幹部全員が固まった。
総司はお腹を抱えて笑っていたけど。


『えー、と…今、何て?』
「紅桜さんは、その、女の方なんですか…?」

あ、ヤバい体中から変な汗が。
というか、さ…

『何でバレたんだああぁあ!?』
「え、やっぱり女の子だったんですか!?」
「生物学上は女だぜ」
『おいコラ、生物学上【は】ってなんだよ』
「だってお前女のカケラもねーし」
『ぅ、否定できない…』

まぁいいか、どうせそのうちバレることだしね、うん。


「女の子で組長さんなんて…すごいんですね」

にこ、と笑う千鶴ちゃん。
ヤバいよ可愛いよ、何この小動物!!


『ち、千鶴ちゃん!』
「はい…?」

千鶴ちゃんの手を取って目を見つめる。

『嫁に来ませんか!!』
「は…?」
『あたしのお嫁になって下さい千鶴ちゃ――』
「いい加減にしろ馬鹿」
『ぎゃんっ!』


スパンッ、と平助に頭をはたかれた。

***
可愛いよ千鶴、お嫁に欲しいよ千鶴。
というか、アレ…?
夢主と平助君との絡みが無い、だと…!?


2010.09.23

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