小唄

□加油!
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曙光。蹄音。
山積みの藁から雀が慌ただしく飛び退る。


「あぁ、眠・・・」
「ほら、さっさとしないか。朝飯までに終わらんぞ」
「何をそんなにカリカリしてる。」
「・・・誰かさんの所為でな、」
「あー、まだ痛むのか?」
「触るな鬱陶しい。大体あんな事どこで仕入れてきたんだ」
「さあ何所だったかな・・・でも善かっただろ?」
「死ね。馬に蹴られて一回死んでみろ。」
「お前だってあんなに喜んd
「・・・・・」
「分かった落ち付け、鋤を下せ。お前には迂闊に長物を持たせられんな」


「・・・朝から精が出ますことで。」
「お早う姜維。」「丁度よかった助けてくれ」
「御遊びも結構ですけど、さすがにそれはまずいんじゃないかな」
「何がだ」
「痕が残ってます」
「っ許さん・・・!だから止せと言ったんだ!!」
「ちょっ、待て!!痕なんてどこにも、」
「嘘ですよ。」
「・・・・」「・・・・。」
「やっぱりそうなんですねー。そんな隠すほどのことでしょうか」
「だろう?聞いたか子竜」
「別に隠してる訳でもない、ただ改めて言う必要があるのかと私は」
「否定はされないと。良かったですね馬将軍」
「肯定もしていない。言い切るな」
「大体お前はどうなんだ」
「はい?」
「諸葛殿とはもう寝たのか」
「寝・・・!?ちょっと何てこと、」
「そうだそれは私も気になっていた」
「趙雲殿までそんな・・・。残念ながら期待されてるような関係は一切ございません」
「ふーん」「意外だね」
「御二方ともどういう見方してるんですか・・・丞相に失礼ですよ」
「いや、疾うに手付きがあったと踏んでいたのだが」
「その歳で童貞ということもあるまい」
「無いですって!!そもそも他人と同衾の経験も無いですから!」
「それはそれは。」
「勿体ない。この器量でなあ」
「ゃっ、ど、どこ触ってるんですか!」
「孔明殿も気の毒に。」
「迷う程大事ということか?」
「勝手に話を進めないでください。その様な下世話な事など丞相は」
「考えてないと言い切れるのか?」
「え」
「少なくとも孔明殿は違うと思うぞ。」
「ああ。鈍感にも程がある」
「ああ見えて中々に強い方だからな」
「そんな・・・」
「こういうのはな、下手の出方次第なのだぞ」
「お前はどうなんだ。どうしたい」
「どうも何も・・・丞相は私をこの国で面倒見てくださっている恩人ですし、大事な師ですし、お傍でもっと色々学びたいと」
「うーん、違うな」
「え?」
「それは答えじゃなくて理由だろう、姜維」


馬が嘶いた。


「確認すべきでしょうか」
「さあそれはお前次第だな」
「というか、もう答えは出ているのだろう」
「・・・有難うございます。骨は拾って下さいね」
「「頑張れ。」」

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