短・中編
□初恋の色
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体育祭の応援といえば、学校行事でもかなりの花形だ。
全校生徒を二分し、その中で各クラスごとに代表者を決める。
集ったメンバーで、各出し物をするわけだが、応援団長は三年の人気実力者が鳴るわけで、とにかく団長の気合の入りようは半端じゃない。
とくに、今年の団長は剣道部の部長と、サッカー部の部長で、この二人は仲が悪い事で有名だった。
なんでも前に、部室の取り合いでもめたらしい。
裏の噂では女の取り合いをしたって話もある。
とにかく、そんな事情で今年の応援は例年よりも気合がはいるだろうというのは、あまり事情を知らない俺達一年でも有名な話だった。
それを。
なんで。
よりによって、俺が?
「仕方ないだろ。お前、昨日休むから押し付けられたんだよ」
「俺なんて、絶対むいてないだろ!?なんでサッカー部の奴とかじゃないんだ!」
「仕方ないだろ、うちのクラスは剣道部長が団長の赤組なんだから。サッカー部は部長が怖くてでれるかよ」
「だったら剣道部……」
「いないじゃんか」
それにしても、だ。
応援なんて、滅茶苦茶体育会系なんだぞ。
それを、背が高いだけで見掛け倒しの俺なんかが、出来るわけないのに。
だいたい、応援といえば、声出しだ。
俺は大きな声を出す事ほど、嫌いな事はない。
できれば、親しいやつとしか話をするのだって嫌だっていうのに。
よりによって、全校生徒の前で大声を出すとか、ありえない。