短・中編

□初恋の色
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「決まったもんは仕方ないだろ。俺もつきあってやるから、ちゃんと練習出ろよ?」

 島崎が一緒なのは助かるし、多分俺の為に立候補してくれたんだろうと思うと、有難いとは思う。

 それでもだ。いやなものは嫌だ。クラスのヤツラだって、自分が嫌だから休みの俺に押し付けたんだから、俺だって仮病で休むくらいは許されると思う。

「俺、帰る」

「あほ、初回からいなかったら、団長に目つけられるぞ。とりあえず、諦めろ」

 野球部の島崎は所詮、体育会系なんだから俺の気持ちなんてわからない。

 それでも、確かにまだこの高校へ入ってから半年なんだし、先輩に目つけられない方が過ごしやすいんだろう事もわかる。

 散々、嫌だ嫌だとごねながら、それでも結局俺は放課後の「応援団練習」に顔を出すはめになった。


     ◇

 初回の今日は、顔あわせと、何をやるかの決定だけだったから、ましな方だろう。

 それでも、ずらり並ぶ三年の先輩方は団長に負けず劣らず強面で、俺の違和感といえばもう、どうしようもないくらいだった。

 各クラス5名代表をたてて、一学年20人くらいにはなる。

 三学年合わせて60人程の少ない人数だからこそ、他のクラスは選ばれた精鋭が来ているはずだ。 

 うちのクラスは、休んでた俺と島崎、それから大人しくてNOが言えない内田が柔道部の安岡と清田に連れられて来ている。

 なんだ、ほら、あれだ。

 暑苦しい。

 これは団長の人柄なんだろうか。

 全体的に、がたいのいい、強面ばかりが集まっている気がする。

 益々持って、俺や内田なんかは場違いにも程がある。

 大きく息をつく俺なんかに構う事もなく、今日の議題は進んでいき、具体的に何をどうやるかの予定がさくさく決まっていった。

 剣道部だけあって、剣舞をすると言い出した団長に、メンバーは沸いた。
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