**黒白の狭間**

□第九夜『悲しみ』
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―――あれから、一年が経った。


リナリーやJr.、その他の人と任務をこなし、単独での任務もこなした。


ダグとも数回同じ任務になった事がある。


価値観が似ているから、探索部隊(ファインダー)の中では一番親しい。


まだまだ慣れない事はあっても、教団は居心地がいいと感じられた。






「へ〜、ダグと一緒なんだ。いーな〜」


「まっ、チャッチャと終わらして来るさ。お前も任務あんだろ?」



ラビは、ぐい〜っと体を伸ばしながら言った。



「まーね。イノセンスもなさそうだし、退屈だよ」


「でもルークがいるって聞いたぜ?」



ルークは探索部隊(ファインダー)の1人。

ダグと同期で、仲がいい。

その関係から、ユアやラビとも仲良くなった人物だ。



「あ、うん。さっきゴーレムで話した。ダグによろしく言っといてって」


「りょ〜かい」



ユアは、地下水路で、ラビと話していた。

2人ともこれから任務だった。


出発時刻がたまたま重なり、こうして雑談をしていたのだ。



「んじゃ出発すっか。またな、ユア。気をつけろよ」


「そっちこそね」



ユアは笑って返す。


2人の関係も、以前あった険悪さは無くなっていた。








「・・・よし。じゃ、私も行くか」













―‐―‐―‐―‐―‐―‐―‐―‐―‐―‐―‐―

ドォオォォンッ

ババァンッ





爆発音が響き渡る。




ユアはラビと別れた後、汽車に乗り、この場所へとやってきた。



・・・そうして今、任務の真っ最中だった。



内容は、アクマの破壊。

たったそれだけの事なんだけど・・・





・・・・・・数多い!





何でこんなに居るんだよ!


と、叫びたくなるような数。



(てか、私こういう事しょっちゅうだよな・・・。
毎回大量のアクマを破壊させられる任務・・・)



帰ったら、今度こそ室長に文句を言おう、とユアは強く思う。





そして、残り少なくなってきたアクマに、暴風を浴びせた。






ひときわ大きな爆発音が、辺り一帯に響き渡った。






「―――ふぅっ」


「お疲れ様です、ユアさん」


「ありがと、ルーク」


「それじゃ、本部に報告してくるんで、少し待っててください。それ終わったら帰りましょう」


「ん。りょーかい」



ルークは近くの電話機へと走っていった。

ユアは、ふと、空を見上げる。





―――最近、ずっといい天気だな・・・。





普通ならそれをいいことだと思う。

しかし、戦争のさなかにあっては、それですら、不吉の前兆と思えて・・・―――







「―――ユアさんっ!  ユアさんっ!!」



ユアは、呼ばれている事に、なかなか気がつかなかった。

ルークが、とても悲痛な顔をして、悲痛な声で、ユアを呼んでいた。








―――”不吉の前兆”―――







ダッ

ユアは、ルークのところに全力で走った。



「どうしたの!? 何が・・・っ?」


「ダグが・・・っ、ダグが死んだって・・・っ」





「・・・え・・・」





『ユアちゃんかい?』


「っ!」



ゴーレムから聞こえてきたコムイの声。

その声は、いつもとは違っていた。



「室長!? ダグが死んだって、どういうこと・・・!?」


「・・・・・・。
任務先で知り合った子を、アクマにしてしまったんだよ」


「あ・・・くま・・・?」


「うん。破壊したのは・・・―――」







    
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