**黒白の狭間**

□第八夜『ガラス球』
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「・・・私、またいつかって言ったはずなんだけどなぁ・・・」



ユアは、食欲を満たしに来た食堂で、ラビと出くわしていた。


そして何故か向かい合った状態で、ご飯を食べている。



「昨日一緒に食べたばっかじゃん・・・! 何でまた・・・」


「うるせェな。飯がおいしくなくなるさ」


「大体何でここで食べてんだよ!」


「混んでるんさ。見たら分かんだろ?」


「・・・・・・」



何を言っても無駄だと判断したユアは、仕方なく目の前の食事を食べる。







「すいません。隣、いい?」


「え?」



突然声をかけられたユア。


見上げると、そこにいたのは1人の少年。

堂顔で背が低く、探索部隊(ファインダー)の服装をしていた。


背が低いといってもユアよりは高いのだが。



「あ・・・ハイ・・・」



ユアは少年から目を逸らして答えた。


少年はそっとユアの隣に腰掛けた。



「こんにちは。最近入ったエクソシストの人だよね?」


「・・・まぁ」


「僕の名前はダグ。よろしく」


「・・・・・・」



ユアは少しの間、黙り込んでいたが、



「・・・よろしく」


と、返事を返した。



「名前、なんていったっけ?」


「・・・ユア・・・」


「そっか」



ユアは、ダグのほうを見ようとはしなかったが、無視もしなかった。


そんな様子を見て、ラビは思わず笑みを見せた。



「あっ、オレはラビさ! よろしくな〜」



ラビも、ダグに自己紹介する。


ラビは教団に入って一年になるが、ダグと会った事はなかった。



「あ、うん。よろしく」



ダグはラビの方を向いて、そして一瞬、はっとした表情を見せた。



「ん? どーかしたんか?」



ラビはきょとんとなる。


ダグはそれに答えずに、じっとラビの眼を見ていた。

そして、


「きみの目はガラス玉みたいだね。僕を映しているけど、それは反射しているだけで、中には何も届かない」


そう、ゆっくりと言った。



ラビは、目を見開く。


そして、それはラビだけではない。


ダグの隣でその言葉を聞いたユアもだ。








ユアは、しばらくの間、時間が止まったように感じていた。







     
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