**黒白の狭間**
□第五夜『眼』
2ページ/6ページ
ゴトンゴトン・・・
任務が無事終わり、再び汽車に乗って教団へと戻るユアたち。
あの後、森を念入りに見回ったのだが、イノセンスは発見できなかった。
「・・・疲れた。結局イノセンスもないし」
「そうね・・・。でも、それならどうして、あんなにたくさんアクマがいたのかしら・・・。
まるで、何かを探しているみたい・・・」
「それって、イノセンス以外の何か、ってこと?」
「分からないけど・・・」
リナリーは不安そうな顔で、考え込む。
逆に、ユアの方は、あまり興味もなく、窓の外に視線を向けた。
少しずつ変わっていく景色。
穏やかな緑の風景が、だんだんと都市部のものとなっていく。
そんな窓の外と同じような、流れていくような感覚で、いろんなことが思い出される。
それは、アクマのこと―――
――アクマは我輩が作ったのですヨ♥ 我輩の大切なおもちゃでス♥――
あれって、今までまったく信じてなかったけど・・・ほんとじゃないよね?
私・・・アクマの事、何も知らない。
人間の醜い欲望から生まれたものだっていうこと以外。
***のことだって・・・。
何年も一緒に、家族のように暮らしてきたのに、その実何も知らないなんて―――
ユアは、次々と沸いて出てくるそんな感情に、ココロがズキズキと痛んだ。
そして、コレは、誰にも・・・仲良くなったリナリーにも言えない過去で―――
もし***が言ってたことが本当だったとしたら・・・?
私は***と・・・
戦わなきゃいけないの?