**黒白の狭間**

□第六夜『団服』
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「んんっ・・・。
・・・朝かぁ」



私、いつの間に寝ちゃったんだろう。


ユアは、窓の外を見ながら思った。


ボーっとした頭で考えながら、ふと、昨日の事を思い出した。



そっか・・・あいつと別れてから、それからそのまま―――



どうして、あんな事を言ってしまったのか。


アレは確かに本心だったから、別に困らないけど、あんな事を言った自分自身が理解できなかった。


普段なら、思うだけで絶対言わないだろうに・・・。




ただ・・・”嘘をついている”ように見えるのは本当。


でも、時々”苦しそう”にも見えるんだ。








やるせない思いを抱えているような―――








「あーーーっ! もぅ最近グダグダ考えまくって疲れた!
めんどくさい!
こんなの性に合ってないっ!」



イライラしてきて、思わず叫んでしまった。


でも、少しすっきりして、あまり考え込むのは止めようと思えた。



「うんっ」



1人でうなずいて、それから着替えをすることにした。


クローゼットの奥深くにしまわれているのは、この間の任務で来た団服。


ユアのではなく、リナリーが以前着ていたお古を借りた。



・・・当然ミニスカートだった。



拒否したが、団服なしで任務には行かせられないと言い張られ・・・。


だったら初任務させる前に私の団服作っといてよ!


という意見は流され・・・。



もちろん、任務でもないのにコレは着ない。


別の服をユアは手に取った。


そしてそのまま食堂に向かった。



「アラ、おはよ、ユア。何食べる?」


「んー、あんまお腹すいてないし・・・。お茶お願い」


「ダメよ、ちゃんと食べなきゃ!
育ち盛りなんだし。
ホラ、何でもいいから!」



ジェリーの剣幕に押され、ユアはしぶしぶホットケーキを頼んだ。



「アールグレイ淹れよっか?」



・・・昨日のヤツか?


私アールグレイ頼んだことないし・・・。


てか、昨日Jr.が持ってきたのは料理長が淹れたのか。



「じゃぁ・・・今日はダージリン。ミルクで」


「了解っ。ちょっと待っててね」



そう言ったかと思うと、すぐに戻ってくるジェリー。


手には、湯気を立てているホットケーキとミルクティ。


いつの間に作ったのかは不明。



「あ・・・りがと・・・」



いつも思う。




コレ、いつどーやって作ってんの!?




ユアが席に座って紅茶を飲んでいると、班長から科学班のところに来るように、との指示を出された。


司令室とか室長室ではないので、任務ではない。


なんだろ、と思いつつも、ユアは呼ばれたので行ってみた。


すると・・・



「おっ! ユア来たね!」



そう言ってきたのは、科学班の白衣を着た人。



「オレはジョニー。科学班の一員なんだ。
ところでさ、ユアにちょっと用があったんだけど・・・」


「・・・・・・何?」



ユアは一歩引いた姿勢で答える。


そんな様子に、ジョニーは笑いをこぼした。



「やっぱり。室長が人見知り激しいって言ってたけど、本当なんだ?
まぁ、この間婦長に採寸してもらっただろ?
それでさ、ユアの団服作るからどんなのがいいのか聞きたくってさ」


「団服・・・。別にどんなのでもいいけど・・・。
とりあえずスカート以外で」


「へ? スカート嫌?」


「当然」



きっぱりと言い放つユア。


特に理由があるわけじゃないけど、付け足す。



「そうなんだ?」


「なんとなく嫌。リナリーはスカートなんだし、別のがいい。それじゃ」



言うだけ言うと、ユアはジョニーに背を向けた。


   
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