月島秀九郎

□恐怖と狂気
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※某ドラマパロディ作品となっております。

設定


総務部主任:月島秀九郎

総務部新入社員:名前

名前の彼氏、営業部所属:銀城空吾

名前の先輩:毒ヶ峰リルカ









2/14日


主任である月島は自分の机で黙々と仕事をこなしていた


机の上に置いてある書類ケースの中から新たな書類を取り出そうとすると、
中に可愛い包み紙のプレゼントが置いてあった。


素早くそのプレゼントを自分の机の下に持っていき、開封してみると中には板チョコと手紙が入っていた。


手紙を開けてみると、大きな文字で"義理"と書かれていた…。




「「キャははは」」




その手紙を見て呆然としていると、オフィス内にいる数人の女性社員の甲高い笑い声が聞こえた



女性社員が呆然としている月島のことを笑っていたのだ



その中のひとりが
「月島主任、それ私達の気持ちですから」
といい




「ねね、やっぱり初めてだったのかな?」
「馬鹿ね、もらってるわよ母親から」
「秀九郎ちゃんへ、愛を込めて」
「なーんて!」
「キャはは」


と月島を茶化す声が聞こえる



給湯室から戻ってきた名前は各カップにお茶を注いでいたがそんな先輩女性社員の声を聞きいてもたってもいられなくなり


『ちょっと!あなたたちほんといい加減にしなさいよ』



「出ました総務のマリア様!」


「名前、洒落よ洒落!」



『何が洒落よ、可哀想じゃない』



「月島主任、名前が可愛いって言ってますよ!」


「母性本能くすぐられちゃうんですってー!」


「やだー」



『もうっ』

名前は女性社員の方に駆け寄りパシパシと軽く叩く



『…そうよ!私月島主任みたいな誠実な人大好きよ』


月島が目下の書類から名前に視線を移す



「おー」

「ふぅーー!」

「言ってる言ってる」



すると、
男性社員から注意がはいる
「いつまでお喋りしているんだ、仕事しろ」


ーー




名前は各社員にお茶を配る



軽く会釈しお茶を主任の机に置く


『どうぞ』


「…どうも」




他の男性社員の机に置くとき、

「名前ちゃんさ、誰かにチョコあげんの?」


『そういう人、いたらいいんですけどね』



するとまた別の男性社員が
「またまた!本当はいるくせに」



名前は首をかしげる仕草をして、クスッと笑う



次の瞬間
「うっ…」



お茶を飲もうとした月島が熱さにむせてお茶を吐き出す



『あっ!』



「げほっ、ごほっ」


すぐさまハンカチを取り出し、月島の元に駆け寄る



『熱かったですよね、ごめんなさい』



名前は月島ズボンにかかったお茶を拭き取ろうとすると


「大丈夫だからっ…」



と焦って立ち上がり勢いのあまり後ろに転倒してしまう月島



そんな姿を見て
周りからは大爆笑されてしまう…








業務終了後…

給湯室


名前は使用済みのカップを洗っている


『二日がかりか…』


『久しぶりに本気出しちゃった!ふふっ』



彼氏である銀城にあげるため、持ってきていた手作りチョコを包んだ箱を見る


バッ…



『んっ…』



突然後ろから口を塞がれる



「声を出すな」





『っ…?!』





「いいか、お前…言うとおりにしろよ、いいな?」



何のリアクションもないため、もっと強く口を押さえつけられる

「いいな…?」


コクッ…



首を縦に振る



「よし…」




バッ



いきなり口を離され、その人物と向かい合わせにさせられる





『?!』




「ほー…こいつは上玉だ…」
頬にに手を添えられる



名前は口を塞いできた犯人が自分のよく知る人物だと分かり、笑顔になる



『空吾…!』



「こういうの、似合わねぇか?」




『ふふっ、似合わないわよ!』



軽く彼の胸を叩く



銀城は社内でこっそりと付き合っている仲で
誰も名前と銀城が付き合っていることは知らない




「やっぱ、似合わねぇか!まいったな」


困ったように頭をかく銀城



名前はチョコを渡す機会が今だと思い話しかける



『あ、あのね!』




「実はよ、わりぃんだけど今夜ダメになっちまったんだ。
俺の部署の会議が長引きそうでな」



銀城の言葉で遮られてしまう



『えっ…だ、だって週末も会えなかったのに…』




「仕方ないだろ、接待してたんだからよ
営業は総務と違うんだよ」






『…夕べ何時に帰ったの?電話したんだから…』



「あ、あぁ…課長と飲んでたんだよ。打ち合わせ絡みで」




『その課長さんてさ、もしかして』





「なんだよ」






『スカート履いてたりして…』




「お、見てたのか?」



『そうなの?!』




「嘘だよ、冗談に決まってんだろ」





『ほんとに?』



「こんなとこで嘘ついてどうすんだよ
そんなことより、会社の内線電話かけてくんのはやめろって言ってんだろ」




『だって…』



「だってじゃねぇ、他の奴らにバレたらどうすんだよ」




『困るの?みんなに知られたら!』




「困りゃしねぇけどよ…」


・・・

「よそうぜ、こんなとこで…」



『うん…』




「じゃあ、俺行くからよ」



『あっ』



「夜、電話すっから」




『ちょ、ちょっ…』



足早に去ってしまった



手元に残ったチョコの入った可愛い箱を見つめる



『何よあれ…バカみたいじゃない…』



ーー
オフィス内


自分の机の中にしまっていた

昼間貰ったチョコを持ち帰るため
月島は誰もいないオフィスに戻ってきていた。


電気もつけず、足早に回収しようとしたその瞬間




オフィスの電気がついた…




『?…あの、主任どうしたんですか?』



名前は真っ暗の中に居た月島に驚きながらも話しかける



「忘れ物を取りにきたんだ」



『そうなんですか
じゃあ、お先に失礼しますね』




「お疲れ様」



オフィスから名前が出るのを見て


ほっと一息ついて、机の中にあるチョコを取ろうとする…





『あ、あの…』




「?!」



バンッ



「くっ…」


戻ってきた名前に見られないようにと思い、焦って勢いよく引き出しを閉めたら


自らの手も挟んでしまった



『大丈夫ですか?!

…あ、あのこれバレンタインのです。』


銀城に渡せなかったチョコを月島に渡す



『じゃあお先に失礼しますね』





ーーー

月島はエレベーターの中で名前に貰った箱を開ける



中には手紙とチョコレートが入っている小包



手紙を開けると




"虫歯にならないように
愛を込めて"




月島はその手紙を見て固まっていた






…翌日


名前が出社すると
自分の机の上に真っ赤な薔薇が一輪飾られていた




「ね、名前
それ、誰よ、誰から貰ったのよ!」


隣の席のリルカが身を乗り出して聞いてきた


『誰かなー?』


「白状させるわよ!」



『ふふっ』





昨日ドタキャンした銀城がお詫びにと、
飾ってくれたであろう薔薇を笑顔で見つめ




『ま、許してあげようかな』


つんつんと突く




ーーー

帰り



大雨の中、会社の外で傘をさしながら
銀城が飾ってくれたはずの一輪の薔薇を手に持ち
銀城が出てくるのを待っていると…





「待った待った!」



『!』


銀城の声だ、と思い声の方向に視線をむけると






「俺、傘忘れちまったんだ。頼むから一緒にいれてくれ!」



知らない女性の傘に入り、さらに肩に手を添えていた




「お酒おごってやるから!」



「もうっ、しょうがないなぁ」




「酔っ払っちまったら雨も降ってんだし、俺んち泊まってもいいんだぜ?」




「ふふふ、やだー」





雨の中待っていた名前に気付かずに行ってしまう…





『…』




持っていた薔薇を捨て、歩き出す














タッタッタ…



雨音の中、走る音が聞こえる




月島は傘を忘れたのか、雨を防ぐために頭上に鞄を掲げ走っている




『月島主任!』



前にいた月島を呼び止め、



『どうぞ』



傘を差し出す



「いや、僕は」



といい、少し走り出したので追いかけて



『どうぞ、風邪引いちゃいますから…』





ーーーー


『あっ、もっと入ってください!濡れてますよ』




「僕は大丈夫だから…」



と、言うが…

月島は自らの濡れた靴が気になったのか

足上げて上下に動かすと中に水が入っているらしくグチュグチュと聞こえる




『ふふっ、可愛い』



「えっ…?」



『いえ!ごめんなさい。』










『…女の子の傘に図々しく入ってヘラヘラしちゃって、気持ち悪わよ…』



「ん?」



『あっ、主任さんじゃなくて!…いるんです、そういうヤツ』




「…」



『もう…いい加減で、人の気持ちなんて考えない最低男…
最低です…っ』



涙が零れてくる





「…!」






『本当やんなっちゃいますよね…』




『やっぱり、結婚するんだったら主任さんみたいに真面目で優しい人がいいな…』



「そうかな…」



『はい!ふふっ』






ーー翌日







名前は電車に乗るためいつもの駅に向かう




『あっ…』





駅の入口に







薄い笑みを浮かべて傘を持っている月島が立っていた







電車内


『お貸しした傘のこと…会社でもよかったんですよ。
…わざわざすみませんでした。』



「ううん」




『…あの、主任さんて休みの日とかは何をしているんですか』



「図書館に行って読書かな」



『そうなんですか!』


・・・
横を向いている名前を見つめる月島


「ねぇ、今度よかったら…」



と話かけたところで




電車に急カーブがかかり人がなだれ込む



『すいませんっ』


「ごめんね…

一緒に行かない?よかったらでいいんだけど」


「僕の親友も紹介したいし」


月島は勇気を出して誘うのだが


『ごめんなさい、大丈夫ですか?』




名前はぶつかってしまった人に謝っていて聞いていない…





ガタッ

急カーブがきて
今度は先程とは反対方向になだれこむ





『ごめんなさっ…』


名前は、咄嗟に目の前あった月島の胸に寄りかかってしまう





「っ…」




月島は名前に自らの胸の昂を悟らせないため、目をつむり深呼吸した・・・








−−−
夜、BAR





名前と銀城は仕事終わりにBARに来ていた


「なんだよ、いたんなら名前の傘に入ってたさ

当然だろそんなの」



『どうかな?』



「なら今度からカッパと長靴で出社するよ」



『…クスッ、いいの、もう気にしてないから』


「そうなのか?」



『私ってさ、つくづく単純よね』



「ん?」


『だって、今日で四日目でしょ
ね、毎日いいのに!お花高いでしょ?』



「花?」




『うん、愛と情熱の薔薇一輪』




「お待たせしました」

銀城が頼んでいたお酒がくる

「ども」





「なぁ…今度の日曜日名前ん家行くわ」



『ほんとに?』


「あぁ」



『うん!じゃあウチの親に言っとくね!』



「お手柔らかにって言っておいてな」



『うん!』



ごくん、と銀城がお酒を飲み終え、




「さ、機嫌もなおったところでそろそろ出っか」



立ち上がる



『え?』
まだ早い時間なのにもう帰るのかと思い

名前はポカンした表情を浮かべる






分かっていない名前に銀城は耳元で

「ホテル」

と囁く





『…や、エッチ』

そんなことを言うが名前は満更でもない様子









−−ー


名前は終電ギリギリの電車に乗った




駅に着き、出口に向かって歩く


出口に着くと…









月島が立っていた








名前は月島を見て驚きながらも
『…っ!主任さん!どうしたんですか?』



と外にいた月島に駆け寄る





「待ってたんだよ」




『私…を?』




「うん、3時間」





『3時間…?』






「でも、待つの嫌いじゃないから」







『あの…私に何か用が…?』







「いままでどこにいたの?」






『…はい?』








「心配したんだよ…
あ、これ」






と言って月島が名前に差し出したのは真っ赤な一輪の薔薇




名前は受け取った薔薇を見て固まる

『あの…これ…』



「みんなに見つからないように夜そっと君の机に飾ってたんだ」




『あ、あの』




「君のおかげで最近自信出てきたんだ…
それじゃあ、おやすみ」



名前は駅の中に入ってった月島を呆然と見つめていた…





−−ー
翌日 会社



名前が視線を感じ、見回してみると

月島が薄い笑みを浮かべこちらを見ていた




名前は素早く会釈し、月島から視線を外した



すると
「ね、名前。結婚するってどういうこと?
水臭いじゃない!」


隣の席にいたリルカが椅子ごと名前に突進する





『え…?(空吾と付き合ってることは内緒にしているし…それに、まだ顔合わせにも来ていないのに…?)』







「月島主任、次長に仲人頼んだみたいよ」




『あ…』



意外な人物の名前が出てきてあたふたしてしまう






ーーーーー
夜、帰り



駅に着いた名前は周りを見渡す

月島がいないと分かり、安心したようにほっとする。
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