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□millet jelly
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「あー…つまんねェなァ」
麦わら海賊団の剣士ことロロノア・ゾロは、上陸した島で迷子になっていた
まぁ、本人に自覚は全く無いのだが…
「あァ?‥またこの店に着いちまった…」
おかしな事に、どこをどう歩いても同じ店に着いてしまう
周りから見れば、同じ道をぐるぐる歩いているのだから同じ店に着くのは当たり前なのだが…
「何だ、この島は…同じ店が何軒もあんのか‥?」
やはり、本人の自覚は全く無い
大体、いつも通り船で寝てれば良かったんだ
あのクソコックがいきなり船番するなんて言い出すから…
責任転嫁し、一人イライラする
こうなったら、この店に入っちまおう
店の看板には、
「WORLD FOOD〜世界の食べ物〜」
と書いてあった
随分安直な店名だ…
と思いつつも、他に興味の引かれる店が無かったので入ることにした
それに、もしかしたら故郷の食べ物に出会えるかもしれない…という僅かな期待もあった
しゃららららっ
入口の暖簾をくぐると、おかしな音がした
店の中も、少し変わった雰囲気だ
「お…味噌汁…」
久しぶりに見た故郷の食べ物に、知らず知らず頬が緩む
サンジの作るものは何でも美味しいが、やはりそれぞれに故郷の味というものがある
「懐かしいな…水飴…」
子供の頃よくおやつに食べていたものを見つけ、ナミから支給されたなけなしの金でそれを二つ買った
それを嬉しそうに食べる案外甘党な恋人の姿を想像し、頬が緩むのを止められなかった
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