事実は小説よりも奇なり

□事実は小説よりも奇なり:第三話
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とりあえず、ソファに向き合って座る
まぁ順序が随分違う気がするが、改めて

「俺の名前は佐倉翔だ
 名前はどう呼ぼうが好きにしてくれて構わない
 職業は小説家が本業で、たまに雑誌のコラムとかも書いてる
 じゃぁ、銀髪のヤツから順番にどーぞ?」
「さーて、何を話したらええかの?」
「別に?名前だけでもいい」
「ほーか?
 立海大附属中三年、仁王雅治じゃ、よろしくの」

銀髪こと仁王は隣の茶髪に目を向けた
お前の番だといいたいらしい

「…青春学園三年の不二周助だよ、よろしくね?」

自然と最後の泣きボクロに目が行く
仁王と不二と俺、計三人分の視線が注がれる

「氷帝学園中等部三年、跡部景吾だ、世話になる」

ま、他の情報はこれから知ればいい
別に知らなくてもいいかもしれないが

さて、自己紹介を一通り終えて些か疑問に思うところがある

「え、何お前ら、中学生?しかも受験生?」
「そうだよ?」
「勉強は?」
「しなくちゃいけんのう」
「学校とかに行く予定は?」
「ねぇな」
「…どーすっかなー…」

神よ、何故こいつらが一番重要なときに転入手続きやその他諸々の準備をしない…!
使うことはないであろうと思っていた番号をプッシュする
ちなみに、俺が入れたんじゃない
いつの間にか入ってたんだあの馬鹿神め

rrrrrr…rrrrrr…rrrrrr…

『はーいっ☆もっしもーし!皆のアイドル、神様でぇーす☆」

ものすごく切りたい衝動を必死で抑えつける
こいつらの学校のことを聞くんだ耐えろ俺…!

「…………………で?こいつらの学校や勉強は?」
『えースルー?
 まー翔君が教えればいいんじゃない?
 余計な心配とかいらないしー』
「もう教科書なんかは全部ないが」
『そんくらい送るってー
 んじゃー、仕事の合間にでも見てあげなよ、受験生って大変そうだしー?』

ああ本当一々俺の神経を上手いこと逆なでしやがる…!

『んじゃ、頑張ってねー、ばいばいびー☆』
「あ、ちょ、待っ!」
ブツッ

…本気で殺意が沸いた
久々だわー、こんな感情的になるの

「えー、今の俺の会話で察してくれたか?」
「あーうん、なんとなくは」
「勉強できるんか?」
「まぁそこそこ、内容は忘れてるかもしんないけど」
「とりあえず学校には行かない
 あんたが俺らの勉強を見てくれる、これで合ってるか?」
「不本意だがそれで正解だ……」
「その、僕らが言えることじゃないけど、…頑張ってね」

中学生に慰められる大人ってのもどうなんだよ
ああもう厄介事が増えた
馬鹿神め……!

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