本編

□第十一章
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ルーク達と別行動をしてから、およそ一日半――事前にラルゴから所要時間を聞いていたので、ほぼ時間通りだ――ほど時間をかけジゼル達との待ち合わせ場所である、ここザオ遺跡へと辿り着いた。
今はすっかり、日が落ちている。その中、タルタロスが緩やかに停止すると同時に、いきなりライトアップされた。

「うわっ!?」
「なっ!?」
「ぬ・・・!」

突然の窓から入ってきた眩い光に、艦橋にいた人間はほぼ全員視界を一瞬奪われることとなってしまった。
しかし敵襲ではない。それなら、闇夜に乗じて攻め込むだろうし、機器類――俺もだ――も反応を示すはず。
つまり、この光は照明。この辺りに待機しているジゼル達によるもの、と言うことは到着前から気付いていた。
当然、ライトアップされる直前に一瞬目を閉じていたわけで、イオンの前に立つように位置取りをしていた。おかげで、目が眩むことは無かったわけである。
近くの窓から外を見ると、遺跡の出入り口付近で整列している団員達が目に入った。
それから、視線の先をイオンへと向けた。

「イオン、大丈夫か?」
「はい。アインのおかげで何とか」

目はしっかり開けられている、な。間に合ったようだ。
さて、先程思わず悲鳴を出してしまったあいつらは・・・まだ回復していなかった。

「お前達は平気・・・ではないようだな」
「アイン!ここまですることないんじゃない!?」

と、素顔をさらしたままのシンクが顔――特に目元――に手を添えながらそう溢した。

「そうか?いつもこれくらいだが」

そう言われても、な。俺達、第四師団の通過儀礼みたいなもので、これくらいの出迎えは日常茶飯事なのだが。

「あきらかに異常だろーが!」

今度は何度も目を瞬きながら怒鳴り散らすアッシュ。
何と眉がつり上がっていた。相当ご立腹のようである。しかも、心無しかラルゴまでもが。どうしてそこまで腹を立てているのだろうか?

「ってゆーか、事前に教えておいてよね!?」
「お前達、知らなかったのか?」
「そうだよ!」
「当たり前だ!」
「把握していない・・・!」

口を揃えて三人に言われてしまった。

「それは悪かった。てっきり他の師団でも似たようなことをしている、と思っていた」
「こんなお祭り騒ぎな出迎えは、アインのところだけだよ!」
「そうなのか?」
「そう!!」

シンクの奴、肩で息してまで声を荒げることはないと思うが。
すると、突然ラルゴがシンクの肩に手を置く。

「止めておけシンク。忘れていたが、あの師団はアイン信者の集まりだ。俺達がここであれこれ言ったところで覆ることはない」
「・・・あー、そうだったね・・・その時点で他と違ってたんだった・・・はぁ」

何だ?急に溜め息をついたりして?それにいつの間にかアッシュの奴も大人しくなっている。おそらくシンク同様ラルゴに何か言われたからなのだろうが・・・ただ、三人の俺に向けてくる視線が、まるで諦観の境地に立ったような感じが見受けられるのは、俺の気のせいだろうか?

「「「はぁ・・・」」」

だから、何なんだ?

「あはは・・・」

イオン、そこで何故失笑するのか・・・?
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