本編

□第十五章
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ルゥナはジゼルのサポート役に徹し、双子はとある事の対策に教会に待機してもらうようにした。その采配に双子はあまり良い顔をしてはいなかったがな・・・。

「とりあえず、そんなところだな・・・後は・・・」
「アイン、お前はどうする?」

ジゼルが至極当然な質問を俺に──ただ気になるのはそのタイミングでその場にいた全員が一斉に俺へと視線を向けたことだった。しかも、その視線の熱が今までよりも何故か熱いような気がしなくもないが・・・?──投げ出した。

「そうだな・・・何せ少し長い居眠りをしていたからな、調べ物ついでに鈍っている体を解してからダアトに向かうことになる。それと序でに、俺はルークが目覚めるのを待つことにする」
「あの、副師団長」

すると俺に声がかかった。ルゥナだ。

「少し前から気になっていたのですが。彼等、特にレプリカルークに関わってからでしょうか、その・・・」
「?」
「・・・以前より体調不良が、目立つと思うんです・・・それと・・・それと・・・!」
「「ルゥナ近すぎぃ〜」」
「え?・・・あ、きゃ!」

彼女は口を篭もらせ言いづらそうにさせていたが気持ち──自分の得物である杖を力強く握り締め、更に潤んだ瞳をさせていた──のブレーキができなかったのか、段々と俺に詰め寄ってきたことすら双子に言われて始めてそれに気づいたようだ。
体調不良と聞いて、真っ先に思い立ったのが昨夜彼女が言っていた、”俺の身体の明滅”について、だ。ただ、それをこの場で口にして良いものかと、ルゥナは思い躊躇していたのだろう。
俺の事は二の次でよいのにな、まったく・・・そうだな・・・。
と、そこで俺は未だ双子に茶々を入れられ困惑しているルゥナの手を取り、胸──心臓へ触れさせた。

「「「!?」」」
「ふ、ふくふくふ、ふ副師団長ぉ!?いいい一体な、何ふぉ!!??」

触れただけだというのに何故そんなに混乱──いや、錯乱状態にならなければならないんだ?

「落ち着けルゥナ」
「お、おおおお落ち、落ち落ち!落ち着けけけるるる訳ないでしょう先輩っ!」
「それよりルゥナ。俺の心臓の音が聞こえるだろ?」
「は、はぃ・・・」

取り合えずば平常に戻ってくれたようだ。しかし未だ矢鱈と顔が赤く、それに顔を背けたがるのだろうか・・・?
今はこの際置いておくとする。

「俺は生きているんだ、だから大丈夫だ。心配するな、そんな事よりも先ずは自分の心配を考えているんだ、良いな?」
「・・・・・・」

ふ、と顔を上げたルゥナに俺は笑い、頷いてみせた。
目を合わせていた

「分かりました、信じます」
「よろしい」

俯きながら──おかげで表情が見えん──答えた彼女の頭を撫でてやった。
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