嘘つきハニー

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夜になると、さすがに電気を点けなければならない状況になった。

生徒たちは必死に発電する。

「芦屋、大丈夫?」

「眉間に皺寄ってるぞー。」

「え?あ…」

桃真と中津の言葉で芦屋は自分の表情が曇ってたことに気付き、笑顔になる。

「心配かけてるなぁって思うと、つい…俺、わがままで1人で来ちゃったから…」

「芦屋みたいな息子がいたら、きっと母親は幸せだろうなぁ。」

桃真の言葉に芦屋はキョトンとする。

「こんなに遠く離れてる年頃の息子が自分のこと思ってくれてる。それってすごく幸せなことだと、僕は思うよ。」

ピキッ

桃真がそう言った時、何か物音がした。

生徒たちは耳を澄ませる。

その後も物音は続く。

「…萱島、お前何か呼んだのか?」

「え?」

八戸ノ里が萱島を責める。

「答えろよ!」

百舌鳥は萱島の方に枕を投げる。

姫島は「やめなさい。」と制止していたが、効果はない。

「おい!お前ら言いがかりだろ!?」

中津は萱島を庇い、枕を投げ返す。

「見たんだよ、萱島が何かと喋ってんの!」

今度は八戸ノ里が投げつける。

「だからって萱島のせいにすんじゃねぇよ!」

ヒュンッ

グサッ

「“グサッ”?って姫島先輩…」

何やら嫌な音がした方を桃真が見ると枕は姫島が持っている剣に見事に突き刺さっていた。

「私の顔に当たったら…それこそ大惨事でしょうが!!」

超至近距離での枕の投げ合いに耐えきれなくなった姫島は完全にキレていた。

枕から剣を抜くと、枕を適当に投げ捨てた。

その枕は北花田に命中していて、怒った北花田が難波に当ててしまい、さらに難波が怒り…

盛大な枕投げが始まった。

投げられる度に枕からは羽毛が飛び、宙を舞う。

「!ケホッ ケホッ」

「来海?大丈夫か!?」

枕投げを端から見ていた桃真は苦しそうに咳を始める。

芦屋が心配するが桃真は苦しそうなままだった。

「!…桃真!芦屋、何があったの?」

「突然咳し始めて…大丈夫か?」

「ケホッ だ、大丈夫…」

そうは言うものの苦しそうな桃真。

萱島は桃真を食堂から連れ出した。





















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