嘘つきハニー

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萱島の部屋に連れて来られた桃真はベッドに座らせられた。

萱島は隣に座り背中を擦る。

「大丈夫?」

「…ケホッ…平気…」

まだ咳は出ていたが、落ち着いてきたようだ。

「俺のせいだ、ごめん。」

「…萱島は悪くないよ。」

頭を下げる萱島に桃真はそう言った。

「それに、萱島は何も呼んだりしてない。」

「何でそう思うの?」

萱島は首を傾げる。

「分かるよ。一年以上ずっと一緒にいるんだから。」

桃真は自慢気にそう言って萱島の方を見た。

だが萱島と目があった瞬間、昼に梅田に言われたあることを思いだし、思わず目を逸らす。

「…俺は分かんない。最近、桃真が何考えてるのか分かんないよ。」

「え?」

萱島は寂しそうな顔でそう言った。

「最近、桃真はずっと俺のこと避けてるし、目も合わせてくれない。俺、何かしたかな?」

「それは…その…」

桃真は黙り込む。

「それに、桃真は重要なことを隠してるよね?」

「どういう意味?」

突然話が変わり、首を傾げる桃真。

萱島は「そのままの意味だよ。」と答えて話を続ける。

「桃真は俺に力のこと隠す必要なんかないって言ってくれたよね。みんな分かってくれるって。」

桃真は頷く。

「俺、嬉しかった。この力のこと、受け入れてくれる人がいてくれて。だから、その人が何か悩んでいるなら、助けたいんだ。」

「それって…僕がみんなに隠していることがあるなら、話せってこと?」

やっと言いたいことが分かった桃真は萱島を見る。

「みんなにが無理なら俺だって話聞くし、中津や芦屋もいる。だから…」

「みんなに話せるような話じゃないんだ。」

桃真はそう言って立ち上がった。

「桃真、俺は「今日はありがと。部屋に戻るよ。」

萱島は何かを言おうとしたが、桃真に遮られた。

遮った桃真はというとそのまま萱島の部屋を出ていった。

「……俺は…全部知ってるのに…」

電気の点かない部屋の中で萱島はポツリと呟いた。

























ボスッ

桃真はベッドに倒れ込む。

「…萱島…何であんなこと言ったんだろ…」

萱島はなぜ自分が隠し事をしていることを知っていたのだろうか。

冷静に考えてみると、1つの疑問に行き着いた。

「…まさか…知ってる?…でもどうやって…」

コンコン

部屋のドアがノックされ、その方を向くと梅田が立っていた。

「…何しに来たんですか。」

「何だよ機嫌悪いな。せっかく暗闇が苦手なお前に余ってた懐中電灯持ってきてやったってのに…」

梅田は階段を上ってきて桃真に懐中電灯を渡す。

「ないよりマシだろ。」

「…どうも。」

起き上がって礼を言うと、梅田はベッドに座った。

「まだ何かあるんですか?」

「あいつはお前の力になってくれると思うぞ?」

急に話し始めた梅田。

桃真は「はい?」と首を傾げる。

「お前、さっきまで萱島の部屋に居たろ。」

「悪趣味。」
桃真が引いていると梅田は「通りかかっただけだ」と反論した。

「…てか、萱島が分かってくれるってことくらい、分かってます。」

「へぇ。お前、本当にアイツが好きなんだな。」

桃真はバッと顔を上げて梅田を見る。

梅田はニヤリと笑って部屋を出ていった。

「な、何なんだよー!」

桃真が叫んで見るが、無駄に部屋に響くだけだった。
























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