エルの夢

□お日様の窓
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階段を降りると、賑やかな声が聞こえてきました。二人分の声がします。少し騒がしいくらいです。何か楽しくお喋りをしているようでした。
声がするのは食堂からだ、とハギさんは言いました。

「ああ、でも。あれだけ騒がしいと…―」
「?」

ハギさんが苦笑しながら何かを言いかけると同時に。

「みぎゃっ!」
「いっで!」

と、悲鳴が聞こえました。
ああ、制裁が加えられたな、と。ハギさんは静かに微笑んでいます。

少年はハギさんに手を引かれ、食堂だという所に入りました。
中は、大きくとられた窓からの日の光で沢山照らし出されています。
そこには大きなテーブルが一つと、囲むように椅子が並んでいます。その隣で、二人の少年が正座をさせられていました。

「おやキシ。また?」
「まただ。全く、この悪戯小僧どもは」

キシ。キシさん。
この声にはきちんと覚えがあります。
少年はキシさんを見上げました。
うんと背の高い、キシさんの顔はとても上にあります。やはり、綺麗な日の光の色の瞳をしています。

キシさんも少年を見つけると、安堵の表情を浮かべました。

「起きたんだな。良かった」
「あ、キシさんが連れて来たヤツじゃん」
「ほんとだ、起きたんだな!」

キシさんの側に正座をさせられていた二人が、少年を見つけて駆け寄ってこようとしましたが。
どうやら、制裁とやらの途中らしく。
二人は見事、キシさんの手によって捉えられました。首根っこを掴まれた二人は、まるで猫の子のようです。一体、二人が何をしたのかまでは、少年は分かりませんでした。

「食事を先に摂ろうと思ったんだけど。この様子じゃ、まだだな。手伝うよ」
「ああ、頼む。…キクバ、コゴメ。お前らは悪戯するなよ」

キシさんは、そう二人の少年にそう言うと。食堂の奥へと入っていきました。
ハギさんも少年に一言二言断ってから、キシさんの後を追いかけていきました。



 
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