夢が末に

□序章
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獄都に警笛が鳴り響く。
慌ただしく続く騒音と、けたたましい男達の声。

「亡者がいたぞ―ッ!」
「追え―逃がすな!」

バタバタと走る音と声の先で。
いたのは一人の子供だった。

子供は黒い目を丸くさせ、きょとりとして、男達を見ていたが。

彼等が武器を持ち、明らかに敵意を見せているのを見て顔色を変えた。
直ぐ様、帆を返して走り出す。

黒目の子供の背に、一人は銃を構えて…―。だが弾は当たらなかった。
発砲さえされなかった。

何故ならここは、獄都の中でも住宅街に位置する区域。
避難しきれていない一般人が、まだ幾人も辺りを逃げ惑っている。

黒目の子供はその中へ逃げていった。
パニックで入り乱れる人を掻き分け、標的だけを撃ち抜くには。余程の銃の腕前があったとしても、難しい。

歯噛みをして銃口を離す。
憎たらしげに、男達は口々に言い争う。

「亡者一人を相手に…」
「あの亡者は一体どうやってここまで侵入してきたというのだ」
「避難も済んでいない。仕方ない。誰か、」


「特務室に連絡してくれ」







 
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