キュン恋

□*もう1度キミの声を
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『約束したのはー…いつだったんだろう…』




サ「………」




『蘇る君のー…その笑顔が目に焼きついて離れないよ…』




サ「…………」





『キミは幸せですかと…聞いても返事はこないのにー…わかっていてもー…』





サ「……うるせェよ。」






『キミの…って、あ。ごめんなさい。』





デ「なんだよ旦那ー邪魔すんなよ。うん。」




何なんだコイツ等…


人の部屋に勝手に入ってきたかと思えば馬鹿は勝手に歌いだすし…




『ど…どうかな?!新曲なんだけど…?!』





デ「せらの歌はいつ聴いてもいいぞ!うん!」




『本当ですか?!よかったー…』





サ「…辛気臭ェ歌歌ってんじゃねェよ。」





コイツはせら。



暁のメンバーで実力はそこそこ。


特技は歌。



デイダラの奴がせらの歌を聴いて誘拐したらしい。



…こんな奴のどこがいいんだか。







『…まだ未完成だからさ!もしかしたら明るい歌になるよ!きっと!』








せらはいつも歌っている。


しかも即興。




その実力は認めているつもりだ。音楽的な面だけで。






サ「…わかったから出て行け。俺は明日に向けて傀儡調整すんだよ。」





『あ…そっか。そうだよね…頑張ってね!』




デ「余裕だろーな、うん。」





俺達は明日、砂の人柱力を浚いに行く。



当分せらの元に帰ってこないだろうな…



…この馬鹿に会えないだけで何も思うことはないが。






『じゃあサソリとデイダラが帰ってくるまでに、ちゃんと考えておくね。』






デ「おう!よろしくな、せら!うん。」



サ「…さっさと出てけ。」





…最近、せらを見るたびに思うことがある。



…その感情はわからないが、何かがおかしい。






…核の辺りがモヤモヤする。






故障かと思ったがせらがいるときだけだ。


何も支障はない。






『あ、今日の夜出発でしょ?もうすぐじゃないの?』






そうだな…確かにもうすぐ時間だ。





サ「…いくぞデイダラァ。」




デ「わかってるっつの。うん。」






□□□□□□□□□




『…いってらっしゃい。』





見送るせらが、悲しそうに笑った。




何故だか、さっきまで何ともなかった核が急に反応した。





サ「…デイダラァ…先行ってろ。」





デ「え?…う、うん…」







『ん?何、サソリ…忘れ物?』








何故だか、




コイツと離れたくなかった。










サ「…あァ。」




俺はヒルコから出た。


それを不思議そうに眺めるせら。






サ「…忘れ物だ。」









―…ちゅ……















『……?!!!!!?!!!!!!』




月明かりの下。





赤くなるせらの顔が見えた。






サ「…行ってくる。」





俺はヒルコに入る。



何故だか、無性に行きたくなかった。
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