キュン恋

□*とりあえず1歩
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―コンコンッ…





ドアがノックされた。



大方ペインか小南だろう。






『…………。』




何も言わずにドアを開ける。



そこには、予想してなかった人物がいた。






デ「…よーぉ。」



飛「遊びに来たぜェ?せらちゃん…」







怪しい笑みをした、2人。



ペインから名前は聞いていない。




呼ぶ必要はない。


追い返せばいいだけだ。






『…………。』





デ「チッ…何か言えよ。」





お前等に話すことなどない。




自分の喉を指差して首を振った。



“喋れない”と。




こうすれば大概の人間は都合のよい勘違いをする。





飛「…都合がいいじゃねェか。なァ?」








そう言うと、銀髪の方が無理矢理部屋に押し入ってきた。



純粋に力だけでは勝てない。





そのまま手首を捕まれ、床に押し倒される。






『……!!』




鈍い痛みが、後頭部に走った。





飛「…近くで見ると益々いい顔してんじゃねェか。あァ?」





デ「…発情してんなよ、うん。」





飛「ゲハハハァッ」






金髪の方は呆れた顔で、干渉する気はないらしい。





…入ったばかりで、あまり問題は起こしたくはなかったが、仕方ない。






―ガッ…






飛「ッ!!!」






口内に、鉄臭さが広がる。



何度も体験した味だ。






銀髪の、首筋の動脈を噛み切った。






自分の頬に、生ぬるい液体がつくのがわかった。




銀髪の力が、緩む。




その隙にコイツの下から抜け出し、部屋の隅に置いてあった日本刀を手に取った。







デ「…何やってんだよバーカ。」




飛「不意打ちだろォ?」








『…?!』






どういう事だ?



確かに急所を狙ったはず。




噛み千切る、手ごたえはあった。




それに、あれだけの出血。





…どうして、平然と立てる?








デ「死なねーのは便利だな、うん。」




飛「ジャシン教入るかァ?」








…さすが暁、と言った所か。




死なない者が1人いてもおかしくない組織だな。






だが…





『…………』





死ななくても、とりあえず出て行け。






飛「うぉ?!」





デ「げぇ…(やっぱ本物かよ…うん。)」








3秒で、8回。




膝、太股の付け根、腕、胴、首。



それぞれをバラバラにする。




一気に鉄の匂いが部屋に広がってしまった。






それでも銀髪は死なないらしい。



金髪の方にそれぞれのパーツを回収され、頭だけとなっても喋り続けている。




はっきり言って不気味すぎる。






デ「チッ…」






金髪の方は気まずそうに銀髪を廊下に投げ捨てた。



そして自分だけ部屋に入り、ドアを閉める。





まだやる気なのだろうか、刀を構えた。






デ「ちょっと待て。…その……」





はっきりと言わずに、視線が泳いでいる。






デ「は…話をしに来ただけだ、うん。」





『……何を。』






デ「…お前喋れるのかよ?!うん?!」






『…………』




それがどうした。



声帯は至って正常だ。






デ「や、ならいいんだけどよ…うん。」





相手の殺気…と言うか、ふざけた様子が消えたので




話くらいなら、聞いてやることにした。






くだらない内容なら、銀髪と同じようにするだけだ。
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