猫の飼い方
□01,助けてみよう!
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―…キーンコーンカーンコーン…
『ぬぉぉ?!鳴っちゃったよ!!』
「せらー!!早くしてー!!」
『あ、いいから!!先行ってて!!』
今日も変わらない青空。
旧いチャイムの音。
伝統ある校舎。
…の、1本の木の上。
『あぁ…!!漫画の主人公かあたしは?!』
「にゃぁぁぁ……」
黒羽 せら。
この学校唯一の遅刻魔だった。
今そんな彼女が木の枝の上にいる理由は…
『にゃんこぉぉぉ!!!自力でコッチ来いって!!』
「……にゃー…」
『え?否定?』
…そう、猫。
今日は珍しく遅刻ではない時間に来たが…
偶然泣き声を耳にし、この様になった。
猫自体も高すぎて降りられなくなったらしい。
『う゛ー………来いッ!!』
猫の座っている枝はぎりぎりでせらが行くと折れそうなため近づけなかった。
そんな状態が続き、最悪の事態が。
『…え?ちょ……』
―ずるっ。
「ンなッ…」
『ねこー?!』
せらの手に近づいた猫が足を滑らせた。
それを目で追うと、つられてせらも落ちた。
―どすッ……
『痛ッ…たたたぁ…!!』
「…んにゃぁぁぁ…」
『てめぇコンニャロー…また遅刻じゃんか!!』
間一髪で猫を抱えたまま受身をとれた。
しかも怒るポイント違う。
シャツは土がつき、髪はボサボサになっていた。
『…いーや。じゃね!もう上っちゃダメだよ!』
「…ぬぁ〜お」
『…それ返事?』
トテトテ…と、猫は去っていった。