薄桃色2

□バズーカ危険、ダメ。
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それはまだ日も落ちていない、いや、落ちていようがいまいが関係なく普通に生活していたら聞こえないような音が聞こえてきた時だった。

どっかぁぁぁぁぁああん!!

『ひぃっ!!』

サボっていた瑛利加のすぐ横をバズーカの弾が通ったのだ。

「あーあ。惜しかったでさぁ」

立ち込める煙の中から出てきたのは、江戸っ子しゃべりに定評のある(?)沖田総悟だった。

「最後の一発使っちまった。あと少しでサボリ魔撃退できるとこだったのに…これで何かあった時お前責任とれよ。」

『お、おい総悟くんよ。何それ。えっちょっとお姉さん聞こえなかったや。もう一回お願い。』

「昇ってくだせぇ」

『さっきと内容変わってるよね?!そうだよね?!なにその笑顔!逆にムカつくわ!!』

その笑顔とは、いつも見せるようなドSな笑顔ではなく、純粋に輝いたものだったのだ。瑛利加は一度深呼吸してから総悟に向き直る。

『で、何かあったの?』

「何にもないでさぁ。ただ純粋に撃ちたかっただけでぃ。」

総悟の言葉に瑛利加は頭を痛くした。

この日はその一発だけだった。いつもなら結構連続で撃つのでおかしいなと思ったが、そもそも人に向ける時点でおかしいので考えるのをやめる。

あの後は二人でサボることになり、それなりに二人とも楽しんだ。まあ、帰ったら言わずもがな鬼が居たのは言うまでもない。


『疲れた。主に体より心が疲れた』

自室に入って開口一番にため息とでた言葉に苦笑する。

まぁそりゃあバズーカ撃たれたり、説教されたり、万事屋に合って税金泥棒についてを聞かされたら心労も酷いだろう。

隊服を脱ぎ捨て寝巻きに着替える。今日はもう寝てしまおう。そう考えたのちに、だんだんと睡魔に襲われた。

朝起きると疲れはなく、寧ろ清々しかった。それはもう沢山睡眠をとったような、それだ。

『待て。いくら何でも、気持ちがよすぎる。絶対寝過ぎたよな、これ。』

恐る恐る時計を見ると






『1、3時?』

時計は13時を記していた。


その後は勿論お説教な訳で。
そんなに怒るなら起こせよなんて悪態を付いて、長引いたり。
何やかんやで今はもう15時だ。




『あれ?薫だ』
「やっと起きたの瑛利加」

そう言った薫の顔は本気で呆れた顔になっていたが、すぐにイタズラを思いついた子供のような表情になる。

「今度また起きなかったら僕が起こしてあげようか?」
『え?!本当?!』
「まぁ、身の安全は保証しないけど。」と少し頬を染めていた。
『何それ怖い!……まぁ、怪我ならすぐ治るから良いけどー…』

ジト目で見やると、薫は「何故いま怪我の話?」と目を瞬かせた。

『え?だって身の安全は保証しないって』

「う、ん?まぁ、そっちにとったならまぁもう、ね。うん。良いんだけどね。仕方ないか。瑛利加だもんね。」

と何故か遠い目をされた。


……何故だ。


『ってことがあったんだよ烝君。』
そう。私は今、薫が遠い目をした理由がわかりそうな烝君のところに来ていた。だが、何故か烝君は俯いている。

『烝君?』

私が呼びかけると勢いよく顔を上げ、身を乗り出す。


………近い。鼻と鼻がくっつきそうだよ烝君。くしゃみしちゃったらごめんね烝君。我慢するから許してね烝君。

「俺が瑛利加さんを守りますから!」

『えっえぇ?!あっありがとうです?!』

突然の言葉に私は日本語が変になる。だが、そんなことよりもこの守ります宣言に恥ずかしさが勝ち、顔をそらした。


たまには照れます。
 

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