薄桃色2

□なんちゃって朝礼
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うるさい。非常にうるさい。
人が寝てる部屋の前でわいわいぎゃーぎゃーと……

『うるっさいわー!!』

まだ朝早い時間帯に瑛利加の声が響き渡った。
普段なら迷惑になる時間帯だが、何故かこの日は屯所内がざわついていた。

『で。あんたらは何をしてるのさ。気持ちよ〜く寝てる人の部屋の前で。』

瑛利加は部屋の障子を開けて声の主、烝と薫にため息交じりにとう。


「瑛利加を起こしに来たらこいつに止められたから言い合ってただけ」

「俺は瑛利加さんを守ると約束したんだ!」

『え、あぁ昨日のことね。てかそもそも薫は何でこんな時間から私を起こそうとしてたの?』

「あ、ここの局長が話があるとかで広間に集まれって。」

薫の一言で瑛利加は明らかに不機嫌になる。

『ちっあのゴリラめ……2人とも朝からごめんね?あのゴリラのせいだよね?もう寝てても良いよ』

瑛利加は笑顔でお礼を言ってから隊服を身に纏い、騒がしい広間に足を進めた。







『つまり、港にまぁた薬積んだやつらがわんさか湧いてるから殺って来いってこと?』

「ごめん。お願いだから、警察が殺るとか言わないで?お父さん泣きそうだから。」

『近藤さん。ここは真選組だよ?今更じゃん?』

瑛利加の一言でみんなの心は折れてしまったようで振り返れば皆遠い目をしている。
『あ、ごめ』
「笑ってんじゃねぇよ」
『あ、ごめんマヨ。』
「何その語尾!!」
『てか何でこんな時間なの?』

瑛利加は土方のツッコミを華麗にスルーして近藤に目を向ける。近藤は頭を掻きながら照れ臭そうに呟いた。

「昨日言いそびれちゃって……」

『もう局長やめるゴリ』

「やめてぇ!そんな冷めた目で俺を見ないでぇぇぇええ!!」

『もう遅いゴリ』

「うわぁぁぁぁぁぁああ!トシぃぃぃいい!!娘が反抗期ぃぃぃいい!!」

泣いて土方に縋る近藤だが、明らかに土方は引いていた。

「いや、近藤さん。こいつもともとこんなんだから。それからあんたの娘ですらねぇよ。だからもう諦めるゴ………マ油。」

「いま、絶対ゴリって言いかけてたよね!!何?!ゴマ油って!!トシまで俺をいじめるのかよぉぉぉぉぉおおおおお!!総悟ぉぉぉおお!!」


次に近藤は沖田に縋る。


「土方さんまでひでぇや。近藤さん。こんな奴副長やめさせやしょう。なぁに心配いりやせん。俺があとを継ぎまさぁ。」

「お前は何調子に乗ってんだコラぁぁぁぁぁああ!!」


『うーわ土方さん最低……』

この掛け合いにことの発端の瑛利加まで参加して更に煩くなって、近所からまた電話がくることになるのはもう少し先の話。

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