薄桃色2
□立ったフラグは折るな
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あれからの時間は準備に回す事になった。
今回は新選組からも手を借りるらしく、こちらが優勢に思えるところだ。…………そして今に至る。
『あれ?薫も居るのは何でかな総悟くん。』
今回は屯所待機の筈の薫が隊服を着て隣に居るもんだから、近くの総悟に疑問をぶつけた。
「あぁ。何か近藤さんにお願いしたらしいですぜ?」
何故だろう。近頃、薫が側に居る気がするのは。私何かしたか?やっべぇよ。これ何の罰ゲームだよ。こんなキューティーフェイスしてるけど本当は怒ってるんじゃないの?え、やめてよマジ。お姉さん怖くなってきちゃった。
そんな事を考えていると、号令がかかりパトカーに乗り込んだ。
瑛利加は副長補佐の為、土方と近藤の車に乗り込む。普通ならばここで運転するのは補佐の仕事だが、生憎瑛利加は無免許なので助手席に座る。運転は土方だ。
『免許とろうかなって思った時期もあるけど、こっちのが楽だし良いね。』
「テメェはもっと補佐らしくなれねぇのかコラ。」
『無理っすね!』
「そこだけやけに元気だな、おい!!」
2人で言い合っていると後ろの席から近藤の笑い声が聞こえた。
「いやぁ、良いね!こうやって馬鹿やれんのも。」
がはがは笑いながら、しかし心がポカポカするような笑顔を向けられて途端に土方と瑛利加は軽く微笑んだ。
『あれが件の薬乗っけてる船っすか?』
物陰から相手側を伺いながら土方に問う。
「らしいな。ていうかよ、あいつらこっち見てねぇか?」
土方の視線の先には、今話に上がっていた天人がこちらを凝視していた。
『きっ気のせいだよ土方さん。ほら、向こう見て手振ってるし……』
ぎぎぎっと効果音がついて居る風に土方へ振り返ると土方は刀を握っていた。
「馬鹿かお前は。ありゃなかま呼んでんだよ。総員突撃体制!瑛利加は総悟のとこ行って応援要請して来い。」
『まっまじかよー…』
「ところで沖田。ここであってるんだよね?」
薫は隣に居る総悟に向けて言葉を投げかける。総悟は薫に一度目を向け前を向いた。
「こりゃ外れかもしんねぇや。」
「て事は瑛利加達が当たりだね。」
今回の案件は噂の港が2つあったので局長筆頭グループ、一番隊筆頭グループに別れていたが今回は瑛利加が居る局長筆頭グループが当たりのようだ。ここに新選組のが居たら池田屋を思い出すだろうが生憎この場には新選組は居ない。新選組は当たりの確率が高かった局長筆頭グループに回されていた。
「こりゃあもう少しで伝令がくるか『おーい!!皆ー!!こっちはずれだわー!向こうへレッツゴー!!』あいつはやっぱり馬鹿みたいでぃ」
大きなため息をはきながら瑛利加の方に目をやりこの場にいる隊員に移動を命じる。
『さぁ!皆の者っ出陣ー!!』
瑛利加の意味のわからない掛け声により移動が始まり、歩き出す。
「瑛利加、それでいいの?」
『ん?何が?』
「こいつには何を言っても無駄だぜぃ」
「らしいね」
第一こんなに大声だしてハズレとか移動とか言うなよとかはもうここにおいて行こう。そう思った時だった。
『さぁっ行………っっ!?しゃがんで!!!』
瑛利加の声でその場に残っていた二人は何とか何かからよける事ができた。
「えっこれって銃じゃない?!何で!?ここハズレなんじゃなかったの?!」
薫が現状を把握出来ずにいる傍で総悟が刀を抜く。
「両方とも当たりだったってことでぃ」
その隣に瑛利加も刀を抜きながら並ぶ。
『まぁ生憎向こうさんも多くは無いみたいだし?なんとかなるっしょ』
どんな状況にも。例え予想の斜め上の状態でも動じないのは今までの場数故だろう。薫も遅れはしたが刀を抜き、瑛利加の隣に立つ。
「いざとなったら僕を呼んでね?絶対助けるから。」
『えっちょっとお姉さんドキッとしちゃったよ?!』
少しばかり赤面した瑛利加を横目に薫は満足そうな顔で敵に目を戻した。
「さて。早く終わらせて他の奴らと合流しやしょう。」
「だね」
『それならいっちょ』
『行きまっ「「……」」』
明らかに今三人で言うフラグだったよね?!え?!何違うの?!と叫ぶのを尻目に薫と総悟が敵へかけて行く後姿を瑛利加も必死に追った。
『何なのあんたらマジで何なの』
瑛利加は鬼花族特有のズバ抜けた戦闘センスで敵をなぎ倒す姿は舞うようなのだが、目は絶望的で上記のような言葉を唱え続けている。遠目から見れば舞うようでも近くだとそれはそれは違った恐怖を味わう事になる。
そんな事は御構い無しに薫も総悟もただひたすらに敵に向かった。