薄桃色2

□巡る巡る
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あぁ。またあの感覚だ。すぅーと意識が浮上する。

目を開ければそこは病院だった。

あぁ、あれは夢だったのかなどと考えながらぼーっとしていると扉の開く音が聞こえる。

「入るぞ。……って瑛利加!?」
『失礼ねー瑛利加ちゃんですよーもう。お見舞いにでもきてくれたんですか?土方さん。』

扉を開けて入ってきたのは花を持った土方さんだった。

「んなわけあるか。」

『じゃあその花は?』

「拾った」

はぁとため息を漏らしてから気になることをたずねる。

『土方さん。私どれくらい寝てましたか?』

「2日だ。」

2日。もしもあれが夢じゃないのなら同じ時間だったのか。

「取り敢えず先生呼んでくるから静かにしてろよ?」

そう言い残し、土方さんは花を花瓶にいけてから部屋を後にした。


「失礼しますねー。気分はどうですか?」

扉を開けたのは初老の先生で大方の診断を終え、明日には退院が決定した。

「にしても良かったねぇ。そこに居る彼が血を提供してくれて助かったんだよ?あの時の真選組の皆の顔は不安一色だったんだから。……もう皆を心配させちゃあダメだよ?」

そう言いながら頭を撫でて先生は部屋を出て行った。

おいおい。聞いてないぞ。

『体の中に土方さんの血が流れてるって考えるだけで吐き気がしますね…はっすいませぇん口が滑っちゃいましたぁー』

「おいこら。しばくぞ。」

顔に沢山の青筋を浮かべて握りこぶしをつくる。あーうん。ごめんなさい。

『でもまぁ……感謝はしてますよ』

ふふっと笑うと、土方さんは顔を背けた。

「あ?お前そんなの持ってたか?」

土方さんは顔を背けた先にあった簪を指差す。

『えっ』

そこにはとても綺麗な桜色の簪が置いてあった。


『ちーちゃん…?』

「あ?」

その場は頭を左右に降りごまかした。


あぁ夢じゃなかったのか。


あの後、面会時間いっぱいまでにいろんな人が来た。

真選組と新選組は勿論、万事屋や愛しのヅラ子さんまで来てくれた。勿論、ヅラ子さんには求婚した。そしてされた。そしてお母さん(だんな)に反対された。


就寝時間もすぎ、幸せな気持ちと少し寂しい気持ちで眠りにつく。




あれ?頭を撫でられているこの感覚はなんなのだろうか。そう思い、少し目を開けると影があった。不思議と落ち着く影は頭を撫でた後、
何処かへ行ってしまう。

またなとお兄ちゃんの声が聞こえた気がした。

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