薄桃色2
□皆様のアイドルとは
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「皆様こんにちは!花野です。今日は街頭調査を行うべく、歌舞伎町に来ております!調査内容はこちら!」
今日は非番ということもあり、ぼーっとテレビを眺めていた。特に見るものもなかったので、生放送のお昼のバラエティを見ることにした。そして、花野アナがダダン!という音に合わせてボードについているテープを剥がす。
「あなたのアイドルは!」
『千鶴と薫。決定だな。』
1人でに呟いて、煎餅を食べる。
うん。んまい。
花野アナがまず始めに目を止めたのは、何と万事屋一行だった。
「突然ですが、あなたのアイドルとは誰ですか?」
花野アナの問いかけに目の色を変えた新八くんが前に乗り出す。
「そんなのお通ちゃんに決まってるだろう!?でなければ寺門通親衛隊の名が廃る!!」
突然の奇行に流石の花野アナも頬をひくつかせていた。
当たり前だボケ。
「あ、あなた方はどうでしょう?」
「んあ?俺は勿論、結野アナに決まってるだろ。」
ドヤ顔で言うだんなにいや、知りませんけどと返した花野アナは神楽ちゃんに同じ質問を投げかける。
「そうアルネ……あ、しいて言うなら瑛利加ネ!」
………ん?あれ?何言っちゃってんのこの子。お姉さん恥ずかしいんだけど。ほら、花野アナが困惑してんじゃん。
「瑛利加、さんとはどなたでしょうか…」
「瑛利加は瑛利加ヨ!」
このままでは埒が明かないと思ったのか、はたまた深く追求しなくてもいいと思ったのか場面は次のターゲットに移った。
その後も順調に人気アイドルが名指しされて行っていると、画面に千鶴と薫が映される。
『んぎゃぁぁぁぁぁああ!天使かと思ったぁぁぁぁぁああっっ』
そんな私の絶叫を聞いてか、烝君が走ってやって来た。
「どうかしましたか?!」
『あ、烝君!見て見て!二人がテレビ出てるの!!』
指をさした先に居た二人に烝君は興味を示し、隣に座った。
「んー…私は瑛利加かな?」
「僕もそう思うよ。」
花野アナの質問にまさかの私の名前。幸せに悶えていると、烝君がとんとんと肩を叩いてきた。
『どったの?』
「俺のアイドルも瑛利加さんただ1人ですよ?」
軽く微笑んでからまたテレビに向き直る烝君。思わず顔に熱が溜まり、俯くしかできなかった。
「また瑛利加さんですね…気になります!あともう一回出てきたらどんな方なのか聞いてみたいと思います!あ、そこの忍者さーん!!」
「あら、私たち?」
「そうみたいだよ!」
聞き覚えのある声に顔をあげると、さっちゃんと雪風が居た。
「あなた方にとってのアイドルとは誰ですか?」
「銀さんよ!!」
「はいっ!はいはいっ!瑛利加ちゃん!!」
ほぼ同時に答えたのにもかかわらず、花野アナは私の名前を聞き取った。
「おぉーっと!ここでまた謎のアイドル瑛利加さんの名前が出てきました!あの、その方とはどのような方なのでしょうか?」
花野アナの問いかけにまだその場に居た千鶴と雪風が叫ぶ。
「「可愛いの!素晴らしいの!」」
その答えに薫がため息をつき、口を開いた。
「真選組副長補佐で真選組唯一の女剣士、瑛利加ですよ。」
「おぉ!では本物のアイドルでは無いということですね!」
皆の発言に恥ずかしくなって固まっていると総悟が近くにやってきた。
「お、それ見てんのかィ。お前めちゃくちゃ人気で笑えまさぁ」
ぷぷっと憎たらしく笑って座って居た私の膝に頭を置いてテレビを見始める。
『あーもうだまらっしゃいよ!』
頭を軽くはたきながらテレビを見る。そんなやり取りをしている時に烝君が総悟を羨んだ目で見ていたことは知らずに。
「では!真選組の瑛利加さんの所へ突撃訪問!!………と、言いたい所ですが時間のようです。ではスタジオにお返ししまーす」