薄桃色2

□うぃず天使
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瑛利加お姉さんがおちびさん(天使)達を遊園地に連れてっちゃうよ企画をとうとう実行に移す時がやってきたよ。むふふふふ。天使達の笑顔が待ち遠しいなちくしょうっ!

にやにやとだらしない顔を隠そうともせずに、天使達がいるであろう広間に向かう。

『おっはよう!非番の諸君‼出かけるから準備なさい‼』

ここで皆さんは何故広間にいるのが非番である天使達だとわかったか疑問に思うであろう。だがしかし思い出して欲しい。彼女は誰か。そう、瑛利加である。天使レーダーに不可能はなかったのだ。

『ふふふん!驚いているね諸君!え?どこに行くかって?そんなの着いてからのお楽しみよう!さぁはやく!時間は有限なのよ!』

瑛利加の雰囲気に気圧されそそくさと用意に向かう千鶴と平助ペア。だがしかし、薫は部屋に向かわず瑛利加の方に向かってくる。

「ねぇ。瑛利加と出かけられるってこと?」

『そだよ〜だからはやく準備しといで!』

にこにこと言うより、にやにやして準備を促す。だが薫は見えていないのか、はたまたフィルターでもかかっているのか凄く嬉しそうに笑って頷き部屋へ向かった。

『何あの子天使。』










『到着ー!ザキありがとう!地味な割に役に立ったよ!Thank you!』

ばちこーんと効果音がつきそうなウインクをセットで送るとザキはため息をつく。失礼な。

「地味は余計だし最後無駄に発音良いな、おい…はぁ。帰る時は少し早めに連絡してね?」

『はーい』

そんなやり取りを後ろから見つめる一行は

あ、親子だ

と思ったらしい。


「にしても!俺一回来てみたかったんだよなー!」

「私も!」

『でしょでしょ!この間テレビで大江戸遊園地の特集めっちゃ見てたもんね〜!あれ?薫は嬉しくない?』

何も言葉を発さない薫を心配に思い、振り返ると




凄くそわそわした薫が居た。





「ちょっと!はやく入ろうよ!」

『天使』

瑛利加が幸せそうに親指を立てた姿に少しムッとした千鶴は瑛利加の手を取り歩き出す。

『ど、どうしたの?千鶴』

「何でもないよ!はやく入りたいなって思っただけ!」

『そ、そう?』

平助はその時思った。

あ、俺邪魔者だ。


だがしかし。そこは三馬鹿。腐っても三馬鹿。そんなことすぐ忘れてしまうのが素敵ねお馬鹿さん。
正直一番楽しんだのは他でもない、彼だ。





『はーい!ではでは!みなさん!何乗りたい?やっぱり全部制覇目指しちゃう?』

「当たり前だろ!!!!」

私の声にかぶる勢いで声を発したのは平助だった。そういえばテレビも平助が1番キラキラした面持ちで見て居た気がする。やっぱり男の子はこうでなくちゃな!

『2人もそれで良い?』

2人も遊園地を満喫する気満々で勢い良く頷いた。


『天使』


「瑛利加!迷子になるの怖いから手、繋いでもいい?」


うん。もう繋いでるね。可愛いから許す。千鶴は聞きながらすでに手を握っていた。お姉さん君の将来が恐ろしいぜ…

『勿論!大歓迎だよ‼‼‼』
きっと鼻息は荒かったであろう。通りすがりの奥様に二度見された。近くのお兄さんは見て見ぬ振りをしていた。お兄さん。その方がかえって傷つきますよ、私。

たまに空いた手を薫や平助が取りにくるがやはり年頃の男の子。あまり長くは繋いでくれない。お姉さんさみしい。



ジェットコースターから空中ブランコ、ゴーカートにメリーゴーランド。お化け屋敷やゲームセンターに観覧車。

どれも新鮮だったのか天使達はずっと笑顔。ただ、ただよ。お姉さん年かな…めっちゃ疲れたよ。うん。でもすんげー癒されたからいいの。もう充分、よ…

『じゃあみんな!ザキに電話して最後になんか乗って帰ろっか!何がいい?』


そこで意外にも全員一致でメリーゴーランドだった。

『お、意外だね〜電話も終ったしちゃっちゃと行こう‼』


ちなみに皆、メリーゴーランドを選んだ理由は瑛利加が1番楽しそうだったからである。そう言うことに疎い平助でさえわかってしまうほど楽しそうだったのだ。

「「「(天使)」」」

ここまでシンクロすることはこれ以前もこれ以降もけしてないだろう。




「みんなおかえり。疲れたでしょ?寝ててもいいからね」

ザキに迎えに来てもらい、暫くすると後部座席のシートで三人の寝息が聞こえて来た。振り返ると仲良く眠っている。その姿を見て、ふふふと笑った。

「どうしたの?」

『あのね、良かったなーって』

信号で止まり、目を合わせて瑛利加の言葉に山崎ははてなを浮かべる。

『この子達はさ、まだ子供なのに立場上わがままも言わないでしょ?楽しいことだってきっと少なかった。だからせめて、ここにいる間は年相応に楽しんで生きてほしいなって。だから行きたそうにしてた遊園地に連れて行ったの。』

信号が青に変わる。
前を向き、少し口角をあげた。

「楽しんでくれたんだね」

『うん。まぁ、私もだけどね』

あははと笑ってみせたがザキは片手を伸ばして頭を撫でた。

「だからこそ、この子達も楽しめたんだと思うよ。疲れたでしょ?寝ても大丈夫だよ?俺が一人になるから起きててくれてるんでしょ?大丈夫。」

また信号に捕まる。ザキはこちらを向き笑った。

『ジミーのくせに生意気な!』

「えぇっ?!このタイミングで?!」

いつもの掛け合いをしたあとにふっと笑うとザキも笑う。

『ありがとう。おやすみ。』

「いえいえ。おやすみ。」







お疲れ様

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