THREE

□Touch Me
1ページ/1ページ


ワイングラスを持つ手が

コインを弄る手が

剣の手入れをする手が



俺の視線を捕らえる







「アラミス」

酒を飲んでそのまま寝てしまったのだろう。アトスは俺の名を呼んで傍に立つ。

「ん」

二日酔いの気だるさが全身を襲う。

「う…」

気分が悪い。最悪の朝だ。



「…大丈夫か?ひどい顔色だぞ」

二日酔いくらいよくある。ひどいとは何だ、ひどいとは。

「おい、アラミス」

返事をする気力も無い。このまま二度寝してしまいたい。そう考えていると、アトスの手が、俺の頬に触れた。

「っ…」

何かと思って見上げてやると、すぐ傍にアトスの心配そうな顔があった。

「顔色が悪い。」

それぐらいはわかってる。それに、それだけだ。なのにどうしてこの男は、こう、



「…優しいんだ」





頬に添えられた手をきゅっと握って、そのままアトスに抱き上げられた。この男ももう慣れてきたのか、軽々と持ち上げる。抱き上げる腕の力強さにうっとりとしながら、もう一度、今夜はアトスの腕の中に、意識を落としていった。







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ