THREE
□Touch Me
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ワイングラスを持つ手が
コインを弄る手が
剣の手入れをする手が
俺の視線を捕らえる
「アラミス」
酒を飲んでそのまま寝てしまったのだろう。アトスは俺の名を呼んで傍に立つ。
「ん」
二日酔いの気だるさが全身を襲う。
「う…」
気分が悪い。最悪の朝だ。
「…大丈夫か?ひどい顔色だぞ」
二日酔いくらいよくある。ひどいとは何だ、ひどいとは。
「おい、アラミス」
返事をする気力も無い。このまま二度寝してしまいたい。そう考えていると、アトスの手が、俺の頬に触れた。
「っ…」
何かと思って見上げてやると、すぐ傍にアトスの心配そうな顔があった。
「顔色が悪い。」
それぐらいはわかってる。それに、それだけだ。なのにどうしてこの男は、こう、
「…優しいんだ」
頬に添えられた手をきゅっと握って、そのままアトスに抱き上げられた。この男ももう慣れてきたのか、軽々と持ち上げる。抱き上げる腕の力強さにうっとりとしながら、もう一度、今夜はアトスの腕の中に、意識を落としていった。