妄想
□手と手 平×千
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「よしっと…」
今日も皆さんの洗濯物を干し終え、一段落。
ん〜。こんなに晴れてると気持ち良いなぁ。
平助くんと日向ぼっこなんて良いだろうな…
って私ってば何考えてんだろ。
「千鶴ー!」
「へ、平助くん!?」
平助くんのこと考えてたところだったからビックリ…てかドキドキするよ〜…。
う〜。意識しちゃダメだ。頑張れ私!
そんなことを心の中で呟いていると…
「…あ、あのさ、…これ千鶴、前欲しがってただろ?」
そういって差し出してきたのは、
私が以前、平助くんたち八番組との巡察で、つい見とれた巾着だった。
「あ…、平助くん、どうしてこれを…?」
「いや…、千鶴がこれをじっと見てたとこ、つい目に入ってよ…」
「ほ、ほら!やるよ!」
「…っえ、いいの?でも…」
「いいのいいの!千鶴のために買ったんだし…、それにほら、オレが持つようなもんじゃないだろ?」
「う、うん。ありが…」
パサッ…
「っあ…、ごめん落としちゃった…!」
「いや、オレが悪いん…」
そういってお互いがどちらとなく拾おうとした時…
「「…っあ、」」
「ご、ごめん、千鶴!」
「う、ううん、平気だよ…。」
私は落としてしまった巾着を拾おうと、しゃがんだら、同じく巾着を拾おうと手を伸ばした平助くんの手と重なっちゃった…
平助くんの手、大きくて、あったかい…。やっぱり男の人なんだなぁ。
…ッギュ。
「!!?」
「…千鶴の手、小さくて、柔らかくて、女の子だよなぁ。…ぜってぇオレが、守るんだ…」
…ボッ。
そんな音が出そうなくらい、私の顔は真っ赤になった。
「…。」
「…?千鶴?」
平助は顔を真っ赤にした千鶴を見たとたん…
「…っ!!ごめん!!……でもオレ…その…ほ、本当だぜ!?オレ、千鶴の笑顔が好きだからさ…。そのためにはどんなことでも守ってやるよ!」
私に負けないくらい、真っ赤になった彼は顔を伏せ、恥ずかしさを隠すように言った。
それと同時に、さらにきつく握られた手に、私は胸がギュっとなった。
「…私もね…、平助くんの笑顔が大好き。…だから、ずっとそばに居ていいかな…?」
「っ!!も、もちろん!!……オレもずっと千鶴のそばに居たい。千鶴…、オレ、千鶴が好きだ。」
さっき以上に真っ赤な顔の彼が、私にまっすぐ、真剣な目で言った。
「…私もね。へ、平助くんが大好きだよ!!」
そういった途端、彼は握っていた手を離し、ギュっと私を抱きしめた。
「オレ、絶対守るから。ずっとそばに居てくれ…。」
「うん…。」
そういって私も平助くんの背中にギュっと手を回した。
「っあ!そういえば、巾着!!」
そういった平助くんの言葉に、拾おうとしていたはずの巾着を見ると、私と平助くんがそこに座り込んでいたため、しわしわになっていた。
「せ、せっかく買ってもらったのに…。ごめんね平助くん…。」
「そんなこと気にすんなよ!!またいつでも買ってやる。…それに、オレの気持ち受け取ってもらえたから、良いってことよ!」
「…!!…改めて口にされると恥ずかしいよっ…。」
そういって、千鶴はしわしわになった巾着を大事そうに抱え、逃げて行った。
「っあ、千鶴待てよー!」
そんな、とても初々しい二人だった。