捧げ物

□嫌い、大嫌いだ。
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 最近、
「ちょっと聞ぃてや、小野田くん!」
 やたらと、
「この間ぶらっと自転車で―――」
 赤いのが視界に入る。今までと何ら変わらない生活をしているのに、何でこうチラチラと目につくのだろう。
 身ぶり手振りが激しい。もっと落ち着けないのか。話も結構抽象的だし……。
「…………」
 いや、別にそんなことはどうでもいい。オレには関係ないし。そう、関係ない。
「…………あ」
 目が合った。反射的に逸らしたが、視線が痛い。足音が近づいてきて、
「おい、スカシ!」
 目の前で止まった。
「なんやさっきからジロジロ見て! 言いたいことあんならハッキリ言えや!」
 ジロジロなんて見てないだろ。
 というか、赤って。この赤い髪、地毛……ではないよな? ってことはわざわざ染めたのか? 校則違反だろ。それとも、あまりに堂々としすぎて、先生も気になってないとか……?
「おいコラ! 聞いとんのか!」
「……チャイム鳴るぞ、早く戻った方がいいんじゃないか」
 オレの言葉に、ぶつくさと何か言いながら、小野田に手を振って去っていく。今度は、鳴子の背を見送った小野田が机の横に立った。
「何の話をしてたんだ?」
「あ、えっと……、鳴子くん、この前の休みに登りで自己最速記録が出たんだって」
 自己最速……。なんだかんだ努力はするヤツだからな。道理で嬉しそうに話して―――、いや、そんなのオレは知らないけど。
「あああの、なんか、最近よく鳴子くんのこと見てるけど、その、話したいこととか……」
 だから、見てない。見てるわけじゃなく、ヤツがチラチラと視界に入ってくるだけだ。
「直接言いにくいことなら、ボク、代わりに言ってこようか……?」
 そういえば、鳴子と小野田ってよく一緒にいるよな。仲いいし、当然だが……。頻繁に話してるし、小野田と話してるときはよく笑う――――、
「あ、あの、今泉くん?」
「…………いや、何でもない。話したいことも特にない」
 授業始まるぞ、と言うと、少し慌て気味に自席に戻る小野田。ちょうど座った時、チャイムが鳴って先生が入ってきた。





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