5
□キミを待つ空
1ページ/2ページ
出勤する大和を見送れば、それからは私とルンバのお留守番の時間。
「ルンバ、今日もよろしくね」
可愛い我が子をよしよし、と撫でてお掃除を開始してもらう。
その間に私は洗濯物を干したり、テレビを見たりとマッタリ過ごす。
「あ!お昼ご飯作ってある!」
今日のお昼は大和が作ってくれたお弁当。
(結婚してないけど)専業主婦な私のお昼を作って仕事に行く大和は本当にすごいと思う。
それに甘えてしまう自分もどうかと思ってはいるけれど…。
「いっただっきまーす!」
お昼のバラエティを見ながらご飯を食べる。
「おいしい!お礼に夕飯はちゃんと作らなきゃね、ルンバ」
ルンバに話しかける習慣も、いつの間にか私の身体に浸透していて。
なんか…大和と一緒にいるんだなぁ…なんて思うと思わず笑みが零れてしまう。
「あ、もうこんな時間!」
夕方、ベランダに出て外をジッと眺める。
夕日が落ちていく空はとても綺麗。
大和の帰りを待つ、大切な時間。
たまたまベランダから外を見たら、大和が帰ってくるところでその日を境に私の日課となった。
「早く帰ってこないかなぁー」
帰ってきたら、何の話をしようかな。
ルンバが今日もお利口だったとか、いつも行くパン屋さんでサービスしてもらったとか、明日のテレフォンのゲストは嵐だよとか…。
どうだっていい話も、大和としたい。
ルンバはお利口さんだなってよしよししたり、ぶう子がリアルにぶう子になるぞって言われたり、嵐よりイイ男が目の前にいるだろうって言ってくれるから。
毎日一緒にいるのに、些細な報告が楽しい。
そんな事を考えていると、見慣れたスーツの男の人が歩いてきた。
(大和だ!)
ベランダを離れて玄関に向かう。
「おかえりなさい!」
アナタを待つ、こうした何気ない日々が幸せなんだ。
*END*
→あとがき