贈り物小説
□Pisces
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今、一番欲しいもの…彼の温もり。
「はぁ…」
何度目かわからないため息を盛大に吐き出す。
「今度、いつ会えるんだろ…」
ため息の理由は彼氏である後藤さんに会えていないこと。
そして、連絡が取れないこと。
彼の仕事のことは少しは理解しているつもりで、連絡が取れないのは仕方がないのはわかる。
「会いたいな…」
わかるけれど、寂しいのだって仕方ない。
誰もいない部屋でくらい、ため息を吐く私を許してほしい。
テーブルの上に置かれた後藤さんの部屋の鍵の光ですら、今の私を落ち込ませる材料の一つにしかならないのだった。