贈り物小説

報われない気持ちを覗いたら
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私は今、恋をしている。


「はぁ…今日も素敵…」


警察庁警備局公安課の後藤誠二さん。

署内にもファンが多く、KKM総選挙で2位という人気。


対する私は…というと…。


「交通局のただの婦警Aだもんなぁ…」


後藤さんに私の存在なんて知られているワケがない。

それでもいい。


彼を見られる事が、私の唯一の幸せなのだ。



そんな私は今日も、昼休みを利用して後藤さんの様子を見に行く。


近づく事すら許されないような異彩を放つ公安課…がある廊下から彼が姿を現すのをジッと待つ。


休憩にでも、外に出た時に見られたらラッキー。


そんな事をしなければ、本当に彼の姿は見られないのだ。



「あ…」



公安局の前にいるのは、後藤さんではなく警備課の一柳さん。


(最近よく見かけるなぁ…)


一柳さんと言えば、署内で知らない人間はいない。

彼は警視総監の息子で、KKM選挙で1位になったイケメン。

おまけにエリート。

ファンだらけなのだ。



(ま、私は断然後藤さん派だけど)


その一柳さんを最近よく見かける。

要人警護をしているのだから、絶対に忙しいはずなのに見かけるのはどうしたのだろうか。



「あっ、いけない!」


気付くと時間は昼休み終了5分前。


(憂鬱な午後の始まりだ…)


後藤さんを見る事が出来なかった日は午後の仕事が辛くなる。


(テンション上がらないなぁ…)



珈琲を飲み干し、自分に気合を入れた。




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