いただきもの小説

スライムまん
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「肉まん食べたい」



何となく発したその言葉に、「俺が作ってやるよ」と。


「え…?」キョトンとすれば、頭を軽く叩いて「肉まんくらいだったら、俺が作ってやるよ」と笑う。


「…でも、今食べたいんです」


普段は素直に頷く理都がやんわり断る。


「理都…?」少なからずショックで名前を呼べば、「いってきますね」と部屋を出ていった。




(昴さんに、スライムまんを見せなきゃ…!)そんな義務感に、とあるコンビニに入る。


「いらっしゃいませーって、理都ちゃん?!」


驚きの声をあげたのは、クラスメイト。



「スライムまん、一個下さい」



まるで初めてのおつかいを頼まれた子供のようだ。


「いつも一緒にいる…すば…すば…」


「昴さんに買うんだ」



クラスメイトの言葉を遮り嬉しそうに笑えば、



「ふーん?はじめてのおつかいで、一人でできるもん?」と。



「ち、違うよ!」



顔を赤くする理都に、彼女は思わずだきつき、「はいはい、大好きな昴さんのためね」と茶々をいれる。



「うー…」



「理都ちゃんは、なに食べるの?」


「肉まん」


即答すれば、勘のいい彼女は、「そういって出てきたんだ?ラブラブだね」と。


「ち、違うもん」


「はい、じゃあこれね」と袋にいれ渡すと、「何が希望ですか?って倒しかたをきくんだよ?」と言われて、素直に頷く。


「ありがとうございました」その言葉を背に感じながら、理都は自宅に急ぐ。



「さて、昴さんとやらは、どんな勘違いをするのかな」



そんなことを呟かれてると知らない理都は、勢いよくドアをあけ、「もどりました」と。




「あ、あぁ、お帰り」反応が薄いことに違和感を覚えながら、理都は袋をだす。

「何が希望ですか?」


「は?!」

何を言い出すのかとめを見開く昴に、理都は首をかしげて昴を見上げる。


「え…スライムを倒すんですよね?」


元ネタをよく知らない理都はクラスメイトの言われたことを、そのまま伝えると、昴は小さく舌打ちをして、理都を軽く抱き締める。


「すっ、昴さん?!」


「あんま、可愛いこというと、肉まんよりおいしくくっちまうぞ?」と。



ボン!と音がするのではないかと思うくらい真っ赤になる。


「さ、さめちゃいますよ」といいながら、俯く理都。


こうして、バカップルのスライムまん事件は終わった。




 

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