いただきもの小説

苦悩する
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「はぁー」
息を吐けば、白くなる。

寒さに、身を震わせ前に視線を向ければ、自分の恋人が立ち止まり、空を見上げた。

キラキラと瞬く星たちに、何を願ったのだろう。

腕を掴み、手を繋ぎたい欲求に駆られながら、その後ろ姿を家に入るのを確認して踵を返し、携帯を取り出す。

「お帰り。暖かくしろよ」

『どうして一緒にいちゃダメなんですか…?』

恋人の言葉に、言葉をつまらせる。

「お前はなにも心配するな。俺がお前を守るから」

『…解りました』

その物わかりのよさが、お互いを苦しめる。

側にいれないのは少しだけ。自分にそう思い込ませて、
「じゃあまたな」
と電話を切る。


クリスマスが近づけば近づくほど、お互いの距離を遠くする。

『一緒にいたい』

そう言われればすぐにさらいにいくのに。
自分の立場と、世間体を考えれば何も出来ない。


「クリスマスなんて、早く終われ…!」
そう小さく呟いて、家路についた。





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