BL小説
□『きみのとなり。』
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中学生になって、カズキとツバサは出逢った。
カズキは明るい性格でモデル並みのルックスを持ち、女子によくモテた。
一方のツバサは、いつも一人だった。
綺麗な顔をしているが、全てを見透かしているかのような灰色の瞳に皆怖れに似たものを感じ、誰も彼に近付こうとする者はいなかった。
そして彼自身も、誰かに話しかけるようなことはしなかった。
そんなツバサに、カズキは一目惚れした。
思い切って話しかけると、彼はこう言った。
「珍しいね。俺に話しかけてくるやつなんていないよ」
そう言った彼は、カズキには寂しそうに見えた。
「どうしてだろうね」と言うと、
「さあね。俺がそういう雰囲気出してるんじゃないかな」
と返した。
「小学校では、どうだったの?」
「小学校でも、同じだよ」
「…そっか」
「ああ」
今度はもっと沈んで見えた。
そんな彼に、カズキはこう言った。
「じゃあ、俺が傍にいるよ」
その瞬間意外そうにカズキを見た彼の瞳が、キラキラと輝いて見えた。