書籍

□pureblood kiss
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斎藤と南雲は、いつものように委員会活動をしていた。


「南雲、すまないがそこのファイルを取ってくれ」

「は?面倒くさいな。なんで俺がお前のために動かなきゃいけないんだよ…」



だらだらと文句を言いつつもファイルをとる。
なんだかんだ言って、薫は斎藤の言うことだけは聞く。



「有り難う」
「…っ。別に。すぐそこにあったんだし」



珍しくお礼を言った斎藤に照れ、顔が赤くなるのを押さえつつ薫は帰りの身支度を始めた。



「帰るのか?」

「どうせ今日はもうやることないんでしょ?ここにずっといたって何にもならないし」


今日の委員会活動は明日の定例会議の議題を考えるだけ。話し合いはとっくに終わっていた。


「それもそうだな。後は俺が片付けておく」


「そうしてくれると助かるよ」

薫は斎藤にいつものような黒い笑顔を向けた。


「じゃ」


そういって出口に歩みを進めたとき―…。


「うわぁっ!!」
「…南雲!?」



ガッ、ドンッ  パリーン


そこら辺に繋がっている機材のコードに足が引っ掛かり、薫は無残にも転んでしまった。




「いたた…。もう!なんでこんな所にコードがあるんだよ!!」


運悪くこけた先には花瓶の乗った本棚があり、割れた破片が薫の膝に痛々しく刺さっていた。


「おい、血が―」

「こんなのただのか擦り傷だよ」



そう言いながら薫は細かく刺さったにガラスを乱暴に抜き、立ち上がろうとした。


そのとき―…




「…っ!!?斎藤、何して…」
「何って―。手当てをしているだけだ」



斎藤は、血が出ている箇所を舐めていたのだ。

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