Play at soldiers

□第3戦 逃亡
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『こちら捕獲第2部隊!アーム3体発見!!西ゲートに向かっています!』


『第2部隊、そのまま追え。第1部隊は西ゲートへ急行せよ』


『『了解』』







「…だって。バレてるみたいだね。」

となりで皐がつぶやく。
だが彼女の唇は少しだけうれしそうだ。


きっと、この気持ちは『彼女』にはわからないだろう。
それは、『彼女』が人間だから。
僕らが、兵器だから。



戦えることが、なによりも嬉しいのだ。




僕は『彼女』に話し掛ける。

「走れますか?」

『ええ。大丈夫』


『彼女』は電子掲示板を見せる。
そういえば、なぜしゃべれなくなったんだっけ。

小さい頃はよくしゃべっていたけれど、あるときから急に姿を見せなくなって…
再会したときにはもう、こうやって会話していたな。


それを不便だろうな、と思ったことはあったけど、それ以外には特に何も思わなかった。


可哀想と思うこともなければ、
自業自得だと思うこともなかった。


自業自得?
なぜそんな言葉がでてきたのだろう?

彼女は何か悪いことをしたのだろうか?




…思い出せない。

だけど、それはあまり必要のないことだ。


記憶が必要な場面なんて作戦の内容だけだ。

人の形こそしているものの、しょせん僕らは兵器だ。


必要か必要でないか。

僕らはそれしか考えない。
それしか必要ないからだ。




僕らが生きるのに、戦うことは必要不可欠だ。
戦うためには逃げることが必要だ。
逃げるためには仲間が必要だ。


さしあたって、いまは走ることが必要なんだ。



僕たちは立ち上がり、西ゲートへ向かって駆けた。
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