一周年記念

□よだかの星
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□よだかの星□





阿部チャン





その日、星が降りてきた。

※※※※※※※※


貧困街の片隅、昼でもろくに日が射さない廃屋が俺の住み家。垢じみた服を来た同じくらいの年頃の子供10人程が、湿気がたまるみたいに暗がりに群れている。

「お前ら、今日のノルマ、分かってるか」
「おう!」
「いいか、てめえらがケガすんのは構わないけど、後が面倒だから相手にはケガさせんなよ!!」
「そんなヘマしないさ」
「じゃあ行ってこい。ナルト、ちゃんと見張れよ」
「分かってるってばよ」

飛段と角都。それが本名かは分からない二人の大人の声を背中に聞きながら、俺達は仕事に出る。
スリ、置き引き、万引き、かっぱらい…元手の掛からない仕事だ。
しっかり稼いで角都に渡すと飛段が飯をくれる。
逆に稼ぎが足りないと殴られる。
そんな毎日をイヤだと思う事がなかったとは言わないけど、変だとは思わなかった。
ここにいる子供達全員、飛段や角都がいなければとっくに死んでいただろう。
赤ん坊の時にここに捨てられた俺は特に。

だから殴られても蹴られても罵倒されても、俺達にとって二人は親だった。



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